「中国人多数・日本人少数」埼玉の団地生活でわかった「分断の感覚」

見えない壁をどう乗り越えるか
大島 隆 プロフィール

トランプ氏が勝利した2016年秋の米大統領選挙で、私は移民国家の米国ですら、反移民感情が広がりつつあるのを目の当たりにした。

このときの取材結果を「朝日新聞GLOBE」に掲載した後、思うところがあって埼玉県川口市の芝園団地に移り住んだ。

芝園団地(筆者撮影)
 

ここは5000人弱の住民の半数強が外国人住民という、UR都市機構の賃貸住宅だ。外国人住民の大半は中国人で、IT技術者を派遣する会社に所属し、プログラミングの仕事をする若い世代が多いのが特徴だ。

一方、日本人住民は高齢化が進み、人数も年々減っている。私は自治会の活動にも参加させてもらいながら古くから住む日本人住民と接する中で、トランプ支持者たちにも通じる思いに気づいた。

「日本人はいまや少数派。肩身の狭い思いをさせられている」
「トランプの言葉を、芝園団地の広場で叫びたいくらいです」
「昔からの住民は、乗っ取られたような気持ちを抱いているんです」

これらはすべて、団地や近隣に住む日本人住民から私が聞いたり、メールで受け取ったりした言葉だ。

団地の商店街にある中国料理店(筆者撮影)

私は著書『芝園団地に住んでいます』で、「ここに住んでいると、なぜ米国でトランプ政権が誕生したか、なぜ欧州で反移民を掲げる政党が伸長したかが、『見えてしまう』のだ」と書いた。

古参の日本人住民たちの言葉の底流にあるのは「ここは私たちの団地だ」という思いだ。それは、「ここは私たちの国だ」というトランプ支持者たちの思いと重なる。