芝園団地のごみ置き場(筆者撮影)

「中国人多数・日本人少数」埼玉の団地生活でわかった「分断の感覚」

見えない壁をどう乗り越えるか
5000人弱の住民の半数以上が外国人という埼玉県川口市の芝園団地。この団地に住む朝日新聞記者が『芝園団地に住んでいます』を上梓した。日々の生活の中で何が見えてくるのか? 「私たちの団地」が変わっていくことへの日本人住民の複雑な思いや、日本人と外国人住民の間の「見えない壁」を乗り越えようとする試みに迫った。

「トランプの言葉を叫びたい」

未来はグローバリストのものではない。パトリオット(愛国者)のものだ――。

トランプ米大統領は9月下旬、国連総会での演説でこう言い切った。

ホワイトハウスのウェブサイトは、演説するトランプ氏の写真と一緒に、この言葉をトップページに据えた。これこそが最も訴えたかった、中核的なメッセージであることを物語っている。米国だけでなく、世界の多くのメディアもこの言葉に注目してトランプ演説を報じた。

世界の首脳が集まる国連総会という場であえて発した挑戦的なメッセージだが、米国内ではこうしたトランプ氏の言葉に喝采を送る人たちが大勢いる。

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私は通算10年近く、米国で暮らしてきた。生活の拠点はいずれも東部の都市部だったが、ティーパーティー運動や中間選挙、大統領選挙の取材で、南部や中西部の小さな町も訪れ、人々の声を聞いた。

こうした地域に住むトランプ支持者の怒りを湛えた目には、グローバル化した世界はこんな風に映る。

製造拠点を海外に移したり、最初から海外で製造したりして「私たち」の雇用を顧みないグローバル企業――。

外国からやってきて「私たち」の公的扶助に「ただ乗り」する移民――。

(キリスト教徒以外にも配慮して)メリークリスマスではなくハッピーホリデーズと言い、「私たち」の伝統や文化を尊重しない人々――。

自分の国を守るためのコストを「私たち」に払わせる同盟国――。

底流にあるのは、「私たち」の国なのに、「私たち」の居場所が、文化が、税金が奪われ、壊されているという「感覚」だ。