2019.10.10
# オムライス

ポムの樹が「オムライス専門店で1人勝ち」を維持する強さのヒミツ

価格設定、卵の焼き方、どれも絶妙
澁川 祐子 プロフィール

自称「日本一オムライスを食べている男」として2019年に『きっしいのオムライス大好き!』(交通新聞社)を上梓した「きっしい」こと岸本好弘さんに昨今の傾向を聞いたところ、「女子は卵重視、おじさんはケチャップライス重視」で、ふわとろ派が薄焼き派を上回るという。

また最近ではオムライス好きで、自分が食べたオムライスの写真だけをインスタグラムにアップする「オムスタグラマー」なる人たちもいるとのこと。そのほとんどは10代後半~20代の女子で、その彼女たちが重視するのは「卵、見た目、お店のおしゃれ度」だと語る。

Photo by iStock

ここで冒頭のオムライス専門店の話に戻ろう。

先に挙げたチェーンのうち、ごはんを卵でくるむタイプは「ラケル」と「ポムの樹」だけ。新しい店はすべてふわとろ系だ。考えてみれば、ふわとろ系のほうが、卵でごはんをうまく包む必要がないぶん、調理の難易度は低い。ふわとろ派優勢の背後には、そんな提供する側の腕前も影響しているに違いない。

その点、「ポムの樹」のオムライスは絶妙だ。食べてみるとわかるのだが、外側の卵は固まった状態だが、内側は半熟という絶妙な火の通り具合なのだ。薄焼き派とふわとろ派のいいとこどりをしたオムライスだからこそ、フードコートなど広く老若男女に受け入れられているのだろう。

 

明治から大正にかけて洋食屋で生まれ、昭和の喫茶店を経て、平成のカフェや専門店と、ひとくちにオムライスといっても、その姿は少しずつ変わっている。令和の時代に、ふたたびごはんにスポットが当たることはあるのか。糖質制限が定着したいま、それはもはやむずかしい気がしてならない。

令和の終わる頃には、ごはんではない何かの入ったオムライスが登場しているかもしれない。そんな夢想の一方で、あの懐かしい喫茶店のオムライスもどうか末永く生き残ってほしいと、昭和生まれの人間はひそかに願っている。

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