来年、芸能活動20周年を迎える。アイドルからキャリアをスタートさせ、今や、ミュージカル女優として押しも押されぬ存在となったソニンさん。幼い頃、“自分は何者なのか”という疑問を抱え、何度も壁にぶつかってきた。その度に、芝居に、音楽に、人との出会いに救われた。今最も輝く彼女が、俳優として“自立”していくまでの半生と、女としてのこれからを語った。

撮影/山本倫子 取材・文/菊地陽子

23歳までは、どこにいても居心地が悪かった

ソニン:1983年生まれ。高知県出身。2000年、音楽ユニットで歌手デビュー。02年ソロ活動を開始。15年、『レント』『トロイラスとクレシダ』『ダンス・オブ・ヴァンパイア』で第41回菊田一夫演劇賞・演劇賞、16年、『1789-バスティーユの恋人たち-』『マリー・アントワネット』で読売演劇大賞・優秀女優賞など、ミュージカル女優としての受賞歴多数。来年は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作 生瀬勝久演出の舞台『グッド・バイ』に出演。

その人生は、常に“音”に導かれる。

母親に言われて、英会話教室で英語を習った。最初は軽い気持ちで通っていたが、たまたま発音に厳しい先生の指導を受けることになり、元来負けず嫌いの彼女は、発奮した。英語を聞き取る上での“耳”も良かったのだろう。

「スピーチ大会に出場したら、賞をもらえたんです。生まれて初めて、自分の努力が認められた。それ以来、英語を喋ることが大好きになりました。でも、将来英語を使う仕事に就こうとかは考えたこともなかった。自分が“何かになる”というイメージが湧かなかったんです」

16歳の時だった。大阪城ホールでSPEEDのコンサートを観て、その迫力に大興奮した。自分は何者なのかわからなくてモヤモヤしていた時期。有り余るエネルギーをぶつけるのに、“表現”する仕事はぴったりな気がした。友人の勧めもあってオーディションを受けた。結局、そのオーディションには落ちてしまったけれど、スカウトされ、上京することに。でも、10代が終わるタイミングで、所属のアイドルグループは解散してしまう。

「ソロ活動と並行して、女優としても活動するようになりました。でも、相変わらずどこにいても居心地が悪かった。自分は何がしたいのかもわからなかったですし……。それが、21歳で初めて舞台に挑戦して以来、積極的に舞台を観るようになって、あるとき、生で大竹しのぶさんのお芝居を観て衝撃を受けたんです。弱さも、強さも、ずるさも、賢さも、美しさも、醜さも、全部さらけ出している感じがした。人間の持つエネルギーってすごいって思いました」

大竹しのぶさんと共演したい! そんな情熱が沸々と湧き上がった。チャンスが訪れたのは23歳の時だ。

「大竹さんが出演するミュージカル『スウィーニー・トッド』のオーディションがあると知って、受けたのですが、その時点では、恥ずかしながら、『ミュージカルって何?』『(米ミュージカル音楽界の巨匠)ソンドハイムって誰?』みたいな状態でした(笑)。お稽古では、必死で楽譜と向き合い、先輩方の足を引っ張らないようにと無我夢中。ただ、ものすごく役にのめり込めて、3時間の舞台を終えた後も、ずっと役が抜けなかったのは初めての体験でしたし、本番を重ねるごとに、『役を生きるってこういうことかのかな?』というような手応えも感じました。観にきてくれた友達が、口を揃えて、『ミュージカル、合っているよね』と言ってくれたことも、励みになりました」