アーモンドアイの調教師が明かす「競馬のウラ」

勝つために考えていること
国枝 栄 プロフィール

誰が馬の育成方針を決めるか

新馬があらたに入厩してくると、当然、血統背景、親やきょうだいの実績、距離適性、芝・ダート適性などを鑑みながら、今後の育成法や路線について検討を始める。

一方で、オーナーの意向も大きく影響する。競馬界の1年は「ダービーから始まりダービーで終わる」といわれるほどに、オーナーの誰もがダービーを獲りたいと思っている。そうなるとやはり、まずはクラシックディスタンス=2400mで勝てるような馬を育てる、となる。

 

騎手やスタッフの意見にも耳を傾ける。騎手の助言で芝からダートに変えることがあるし、逆に「やはり芝のほうが向いている」ということもありうる。短距離から中距離へ、あるいは中距離から短距離へというように、距離を変えることも実際にはある。競馬新聞のコメント欄でよく目にする「騎手の助言により」というのが、それにあたる。

馬の成長をも阻害する「除外馬問題」

ところがここに除外馬問題が浮上する。

いまの中央競馬には馬が多過ぎて、調教師もオーナーも、馬の適性本位でレースを選べないという問題がある。フルゲート(出走可能頭数)を超えていれば抽選になるのだが、その結果、外れてしまえばどうなるか。

せっかくレース開催日から逆算して万全の仕上げを施したのに、出走できないとなれば、またレース選択、騎手の調整、馬の仕上げから始めなければならなくなる。そうした手間を避けるため、適性はないけど仕方ないからダートで使おうか……という判断が起こりうる。そもそも、出走回数が減れば、自ずと馬の経験値にも影響を及ぼすといった悪循環にも陥る。

その馬その馬に合った最善のレース選択をするためにも、除外馬問題の一日も早い解決が必要なのだ。