香港にあった「自然豊かな最果ての小島」で恐竜化石に肉薄す!

話題の「大陸の周縁」は恐竜不毛の地?
安田 峰俊 プロフィール

近年の台湾の化石関連ニュースでは、2015年1月に報じられた、台湾島と澎湖諸島の間の海域で漁網に引っかかった19万〜1万年前の原人(澎湖原人)の顎の化石が注目されている。また、2016年4月には中部の台中市で子どもを抱いた状態でミイラ化した母子の遺体が発見されたことが話題になったが、こちらは約4800年前のものだ。

台湾は恐竜学よりも人類学の島なのである。

とはいえ、台湾(中華民国)の領域は、実は私たち日本人が想像するよりもかなり広範囲だ。中華民国政権は1949年の国共内戦に敗北したことで台北に臨時首都を移し、それが現在まで存続しているのだが、実は中国大陸側にもごくわずかに実効支配地域を残している。

 

すなわち、福建省の厦門沖に浮かぶ金門島と、福州沖に浮かぶ馬祖島をはじめとした島嶼部だ。これらの島は、台湾(中華民国)なのに行政区画は「福建省」であり、地理的にも台湾本島と完全に断絶。中国大陸と数キロ〜十数キロしか離れていない。

金門県台湾、金門県に属する小島 Photo by Getty Images
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調べてみたところ、大陸側の厦門市の付近にはジュラ紀の地層があり、植物の化石程度なら見つかっているらしい。

それほど可能性は高くないと思われるが、台湾(中華民国)で恐竜の化石が見つかるとすれば、大陸側と地質的に連続している金門島が最有力候補のひとつだ。今後の研究や発掘に期待したいところである。

香港にも自然豊かなエリアがある

次に香港について考えてみよう。香港の領域内では現時点まで恐竜の化石は見つかっていないが、台湾と比べればかなり有望である。

2005年6月8日付けの現地大手紙『蘋果日報』が掲載した香港の古生物学界の重鎮・李作明のインタビューによると、香港の新界地域には白亜紀のレッドベッド(鉄を含有する赤い地層)地層が広がっているという。

香港はビル街のイメージが強いが、極度に都市化しているのは19世紀なかばにイギリスに割譲された香港島や、九龍半島の先端部だ。

対して1898年にイギリスが99年期限で租借した新界地域は、70年代にニュータウン開発がおこなわれるまでほとんど手つかずの状態で放置されており、現在も地下鉄沿線の駅付近を除けば豊富な自然が残っている。

新界新界地域西貢半島の水辺。香港にも実はこんな場所があるのだ。九龍半島中心部からミニバスを乗り継いで約2時間かかる(筆者撮影)
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1981年に香港領域内でデボン紀の魚類の化石を発見した経歴を持つ李作明は、25年前から新界で恐竜化石の調査を続けているという。