# クラウドファンディング # 政府

政府は何%までクラウドファンディングだけで運営できるのか?

予算作りの分散化と新たなガバナンス
西川アサキ with VECTION プロフィール

極端な例:100%クラウドファンディング化政府

では、政府のクラウドファンディング化は、前回挙げた「希望」の条件、

(1)どうしても減らせない仕事が実際にたくさんある

(2)どこかで中抜きしている人の分を別の人がやるのでたくさんある

(3)無意味な仕事を水増しすると利益を得られる人がいる(のでたくさんある)

……のうち、

(2)(3)を減らすことができる

を満たせるでしょうか?

 

極端な例から考えてみます。100%クラウドファンディング化された政府での税金は、提案された事業企画をオープンなクラウドファンディングにかけた結果、実行条件を満たすことに成功した企画群に自動配分されます。クラウドファンディング率100%の政府は、いわば予算配分・事業企画に特化した直接民主制です。

もちろん企画は、行政が出してもいいですし、企業や一介の市民が出しても構いません。ただし、誰が出したのか?という点でバイアスがかからないように、企画提出者が誰であるかは匿名に保つ手段も考案すべきでしょう。

自動配分については、クラウドファンディングで決まるのは総予算に対する事業企画予算の比率だけで、決定額はある時期がくると引き出し可能になる、などとして総予算の整合性が自動で担保されるようにします。折衝によって人の手を介すと、それだけで様々な腐敗の温床になるからです。

この仕組みだと、たとえば「事実上何もしないが、提案者の組織上での地位を向上させるような企画」に予算はつかないでしょうし、「使い道がないと皆が知っているソフトを作る仕事を外注し大量の報告書を書かせた上、ほぼそのまま提出するだけの企画」も通すのは難しいでしょう(逆に、今の制度ではむしろ通しやすい気がします)。

100%クラウドファンディング政府のこの特性は「(2)中抜き」による無駄仕事を減らすのには役立ちそうですし、(2)から派生的に出てくる「(3)無意味な仕事の水増し」減少にも効きそうです。クラウドファンディングを通過できた以上、その企画を必要とする人は必ずいるので。

まとめると、政府のクラウドファンディング化は、要求間の整合性を保ったり、事業企画・予算を決める部分に、可能な限り人間の恣意や私欲が入らないようにする仕組みなわけです。

これは一見、「政府のスリム化」と似ています。が、企画立案、依頼、予算配分、折衝を政府がやる限り、外注先を増やしても実際にはスリム化しない、あるいは見かけ上政府がスリム化しても、政府の付属品的企業が大量に生まれるだけでしょう。

お金を払う決定権を持つ側、というのはとても強いのです。