2019.10.20
# 人工知能

人工知能(AI)の時代には、意外と「こんな人」が生き残る

歴史を知って正しく振舞う
井口 耕二

出張用ノートパソコンの定価は44万8000円!

コンピュータがここまで我々の生活に浸透したのは、小さく、安くなったからだ。学生時代、私が最初に買ったパソコンは、前述した富士通のFM‐8だ。1981年に発売されたマシンで、ハードディスクどころかフロッピーディスクさえない本体とモニターだけで40万円以上もした。大学入学の祝い金ではとても足らず、アルバイト代もかなりつぎ込んだことを覚えている。

持ち運んで講義のノートが取れるコンピュータが欲しいと当時から思っていたのだが、なんとかそのレベルに達したマシンを買ったのが、米国留学から帰国した翌年、1990年のこと。NECのPC-9801NS20というノートパソコンで、20 メガバイトのハードディスクを内蔵し、バッテリーで1〜2時間は使うことができた。

このマシンは、どこに行くときも持ち歩き、出張先や会議にも持ち込んで、会議が終わったときには報告書をほぼ書き上げているなど、ずいぶん活用した。当時、そんなことをする人はまずいなかったので、すごく珍しがられたし、会議中にかちゃかちゃなにをしているんだと上司に怒られたこともある。

ちなみに定価は44万8000円で、さすがに手が出なくて中古を購入した。それでも30万以上したと思う。いまなら、このマシンよりはるかに高性能だし、薄いし軽いしで持ち運びのしやすいノートパソコンが3万円前後で買えてしまう。

小さいマシンとしては、自分でいろいろ作ってみたいマニア向けだが、ラズベリーパイと呼ばれる名刺大のものさえいまはある(個人的にとても興味を引かれている製品である)。

 

商業主義か、オープンか?

高性能なコンピュータがこれほど小さく、安くなったことが、最近、AIが爆発的に発展している大きな要因だ。いまなら、ディープラーニングと呼ばれる最新のAI手法でさえパソコンレベルでも実現できるのだ。私は一ユーザーとしてこのような発展を体験してきたわけだが、それをだれがどのように実現してきたのかは、この本に詳しく紹介されている。

コンピュータ発達の歴史では、ソフトウェア開発における商業主義とオープンな考え方の綱引きも興味深い。

私自身、自作のソフトウェアを無償で公開しているので、オープンな考え方をする人たちの気持ちもよくわかる。一方で、そうとうな時間と労力をかけなければそういうソフトウェアが開発できない、だから、金銭的に相応の見返りがなければ本業にできないというのもよくわかる。

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