2019.10.06
# いじめ

ベストセラー『こども六法』が救った、9月1日の子どもたち

道のりは困難の連続だった…
山崎 聡一郎 プロフィール

一方で、正確さを徹底的に追求すれば六法の原文よりも長大で難解な文章となりかねません。編集チームと監修者との間で交わされた相互に粘り強い修正の積み重ねが、『こども六法』の本文を少しずつ磨き上げていったのです。

また、一般的に小さな文字の羅列となっていてとっつきにくいイメージが強い法律書のイメージを一新するため、デザイナーの砂田智香さんはイラストをふんだんに取り入れたレイアウトと、深刻な犯罪事例を動物で表現することを提案して下さいました。そして本書の核となった伊藤ハムスターさんの親しみやすくも示唆に富んだイラストは、こども六法は子どもが思わず手に取ってしまう法律書という“不可能”を可能にしてくれたのです。

 

こうして『こども六法』は9ヵ月に及ぶ編集を終え、今年の8月20日に刊行を決めました。この日に刊行を決めた背景には、「9月1日に出版が間に合わなければ意味がない」という、私にとっては大きなこだわりの一つがあります。

というのも、9月1日は子どもの自殺数が飛びぬけて多いという統計があるためです。学校に行きたくないと思い悩む様々な原因の中にいじめがあることは既に広く知られていますが、学校の2学期開始日である毎年9月1日が近づくと、メディアでは盛んにいじめ関連の報道や特集が行われます。

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昨今は2学期開始日の前倒しに伴って自殺者数のピークも8月下旬に移りつつあるとのことですが、大人も含めた日本人全体の自殺者数は減少している中で子どもの自殺者数は微増しており、子どもを取り巻く状況は改善していないどころか、相対的には悪化していると考えることもできます。

だからこそ私は、9月1日よりも前に出版することにこだわったのです。この締め切り故に編集作業は一層ハードなものとなりましたが、最終的にはこの刊行日程の設定が9月1日問題の話題と共鳴し、大きな反響を呼ぶこととなりました。

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