2019.10.06
# いじめ

ベストセラー『こども六法』が救った、9月1日の子どもたち

道のりは困難の連続だった…
山崎 聡一郎 プロフィール

自分が受けていたいじめは「傷害罪」「暴行罪」「名誉棄損罪」「侮辱罪」などに該当するものでした。この事実を知ると同時に衝撃を受けたのは、特に名誉棄損罪や侮辱罪が「親告罪(第232条)」であること。つまり、『こども六法』の本文を引用するなら、「被害者から国に対して、加害者を処罰するよう求めがなければ、検察官は裁判を起こすことができ」ないということでした。法律を知った中学生の自分は、「自分が知らなかったから、訴えなかったから救われなかったのだ」という後悔を抱くようになったのです。

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その後私は「自分のために」法律を勉強し始めましたが、大学に進学すると「当時の自分を救うことは、同じ状況下にいる自分のような性格の子どもを救うことだ」と考えるようになり、法教育を通じたいじめ問題解決の研究を開始します。そして現状の小学生向け法教育教材には「共通のルール」が欠如している点、そしてそもそも法律を専門的に学習する前提にない子ども向けの法律書が存在しない点に気づきます。

そこで、法教育副教材として「こども六法」を制作することを決意しました。そしてようやく2014年11月、慶應義塾大学から研究資金を獲得し、最初の「こども六法」が誕生したのです。

 

一度は頓挫した出版計画

「こども六法」は様々な学会や研究発表会で発表と配布を行い、驚きの声と共におおむね好意的に受け入れられました。

その後、大学の同期であるたかまつななさんの『政治の絵本―現役東大生のお笑い芸人が偏差値44の高校の投票率を84%にした授業』出版に向けて協力していた際に、彼女を通じて弘文堂と出会うことになります。弘文堂は「こども六法」の趣旨にすぐに共鳴して下さり、また出版を決めて下さいました。

しかし弘文堂は老舗の法律専門書出版社、児童書を制作するノウハウがなく、出版計画は2年にわたって頓挫することになります。

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