カウントダウン
團十郎襲名まで7ヵ月となった。
10月の海老蔵はシアターコクーンでギリシャ悲劇を原作とした『オイディプス』、11月は自主公演の「ABKAI」で、古典の『実盛物語』を新解釈・新演出する予定だ。
新しい團十郎は何を見せてくれるのか。
9月に上梓した『玉三郎 勘三郎 海老蔵――平成歌舞伎三十年史』(文春新書)の最後に、こう書いた。
「初代市川團十郎が始めたものが現代に続く歌舞伎であり、代々の團十郎がそれぞれの時代の歌舞伎を作ってきた。今後は十三代目團十郎の歌舞伎が歌舞伎となる。それを認めたくない人は、別の歌舞伎を作るしかない」
「令和歌舞伎」とは、久しぶりに「團十郎の歌舞伎」が中心となる時代となる。
もちろん、團十郎歌舞伎が全てではない。
菊五郎歌舞伎や幸四郎歌舞伎、猿之助歌舞伎も生まれ、競い合うだろう。
集団指導体制ではなく、群雄割拠時代へ――そうなることを期待する。