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喜寿を超えても、ポール・マッカートニーが健康でカッコいい秘密

ビートルズスタイルのメニューとは?

私の本業は、胃腸の病気を中心に診察する消化器内科医です。その仕事柄、胃腸に関する食事内容に興味がわくことが多いです。

と同時に、若いころより、ポップミュージック、特にビートルズが大好きということもあり、今回はビートルズの「ある側面」に光を当ててみたいと思います。

菜食中心の食生活

 

私の手元に、ビートルズ解散後のメンバーたちがそれぞれ独自に発売したアルバムがあります。メンバーが40歳当時のアルバムジャケットを比べてみましょう。

ジョン・レノンは『ダブル・ファンタジー』、ポール・マッカートニーは『タッグ・オブ・ウォー』、ジョージ・ハリスンは『クラウド・ナイン』、リンゴ・スターは『ストップ・アンド・スメル・ザ・ロージズ』。

これらのジャケットで比べてみると、4人ともスリムなのです。特に、ジョージは見事なまでにスリムです。40歳となったビートルズのメンバーは、実はこの当時、4人とも菜食を中心とした食生活を送っていました

日本でも今は、菜食主義やマクロビオティックなどが広く知られるようになり、日常的に取り入れる人も増えてきました。しかし、彼らが40歳だった1980年代前半、「菜食主義」というとまだ少数派で風変わりなイメージのほうが強かったように思います。

衣食住の習慣は、パートナーによって大きく変化するものです。ビートルズの4人も、パートナーの影響によって少しずつライフスタイルを変えながら40歳を迎えました。

残念ながらジョンは40歳で殺害されてしまったので、それ以降の記録がありません。

ジョージは、がんで亡くなってしまいましたが、存命中は本当にスリムでした。ポールもそれほど大きく体形が変化せず、しかもエネルギッシュにライブ演奏をおこなっています。リンゴも元気です。

40歳前後の4人は、20代のときのジェットコースターのような日々に別れを告げ、落ち着いて満ち足りた人生を送っているように見えます。うらやましいことに、メタボともあまり縁がなかったようです。その理由は、ライフスタイルや音楽以外の行動・発言の中に潜んでいます

なぜビートルズはいつまでもカッコいいのか(photo by iStock)

ビートルズのファンの方でも、おそらくメンバーの食生活に注目する人は少ないでしょう。彼らの食生活については、さまざまな本を読んでみても断片的なエピソードしか出てきません。

しかし近年、ビートルズの近くで彼らを見ていた女性たちの本が出版されたことによって、今まで知らされていなかったことが少しずつわかってきました。女性ならではの視点で「食」を見ていたのもその一つです。それらを丹念につなげていくと、見えてくるものがあります。

すべての情報をチェックすることはできませんので、私の調べた範囲内で述べていくと、ビートルズの4人は、みんな菜食主義(ベジタリアン)になったのです。

多量の食物繊維を摂る

まず「菜食主義(ベジタリアン)」という概念について、簡単に触れておきたいと思います。

ビートルズ誕生の地、イギリスでは「英国ベジタリアン協会」が1847年に設立されています。当初は宗教的理由や動物愛護の思想から始まった、とされています。

ベジタリアンに至るきっかけですが、大きく分けて次の3つにしぼられるようです。

 ①健康増進のため、肉食が体に合わないため
 ②自然環境への配慮のため、食肉汚染への不安のため
 ③動物愛護のため、目に見えない理由のため、宗教上の理由のため

これは、ビートルたちが、どうして菜食主義的生活になっていったかを知るうえでは大切なポイントです。

さて、30代の頃のビートルたちの食生活は、ほぼ次のようなものでした。