2019.10.04
# 野球

巨人優勝の陰に原監督の「執念」…開幕前、監督座談会での先制パンチ

“球界の盟主”の意地を見た
二宮 清純 プロフィール

「怯えてたら始まらないよね」

プロ野球がセ・リーグとパ・リーグの2リーグに分立したのは1950年です。自他ともに認める"球界の盟主"巨人は9連覇(1965~73年)を1度、5連覇(55~59年)を1度、3連覇を3度(51~53年、2007~09年、12~14年)、2連覇を2度(1976~77年、89年~90年)達成しています。

では他のチームはどうでしょう。昨季、広島が3連覇するまでは、最高でも2連覇止まりでした。広島(79~80年)、ヤクルト(92~93年)中日(2010~11年)の3球団が連続してリーグを制していますが、3連覇は、いずれも巨人によって阻止されているのです。そこに"球界の盟主"の意地を見るのは私だけではないでしょう。

昨オフのなり振り構わぬ補強は、4連覇を目指す広島に対する宣戦布告でもありました。また、こんなこともありました。開幕前に行なわれたNHKサンデースポーツの監督座談会でキャスターから「正直、○○と戦うのはイヤだ」という質問が飛んだ時のことです。○○の部分に該当する球団名の札をあげろ、という要望です。

 

4年ぶりに巨人を率いることになった原辰徳監督が口火を切りました。「僕はないです!」。毅然とした口調でした。そして阪神の矢野燿大監督の方を向くなり、こう続けました。「4月から、そんなことで怯えてたら始まらないよね。やっぱりね!

機先を制された矢野監督は「はい」と小声でうなづくしかありませんでした。

実は矢野監督と東京ヤクルトの小川淳司監督は広島の札に手をかけており、その様子をNHKのカメラはしっかりと捉えていました。

オープン戦期間中、「4年間のブランクの間にセ・リーグの勢力図は様変わりした」と原監督は親しい巨人OBに語り、こう続けたといいます。「広島は外から見ていた以上に力がある。開幕から走られたら、ウチも含めてノーチャンスかもしれない

その危機感が「4月から、そんなことで怯えていたら始まらないよね」という言葉に集約されているように感じられました。少々、うがった見方をすれば、座談会という場を借りて、他の4球団に広島包囲網を呼びかけたようにも映りました。

果たしてレギュラーシーズンの覇者は原巨人でした。還暦を過ぎた指揮官が宙を舞った10日後、4連覇を逃した指揮官がユニホームを脱ぎました。勝負の世界の宿命とはいえ、明暗をくっきりと映し出す去就の秋です。

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