爆発的ブームの「スパイスカレー」が、カレー界の常識を打ち破るまで

原価が高い、体にいい、並んでも食べたい
高橋 洋太 プロフィール

既存のカレーは気にせず作る

品川区西小山には、もとはスパイスカレー屋ではなかったが、スパイスカレーにシフトしたお店があると聞きつけて伺った。『小さかった女』だ。代表の小助川麻里耶さんにお話を聞いた。

 ──こちらはもともと、スパイスカレー屋さんではなかったと伺いました。最初はどんなものを提供していたんですか?

「最初は自由が丘にある『みつばち』というカフェ居酒屋の定休日に週1回『間借り』で店を出して、創作料理を作っていたのがスタートです。6年前に独立したんですが、引き続き創作料理を出している中で、『混ぜライス』を試行錯誤した結果、最終的に落ち着いたのがカレーで、それが看板メニューになりました

──「混ぜライス」……ですか?

「はい。『混ぜライス』というメニューを開発しようとしていました。お米と汁系のものを合わせた一皿ですね。例えばお米とシチュー、お米とラーメンのスープといった組み合わせを試して、カレーに行き着いたんです」

KOYAMAチキン(小さかった女)

イチオシのKOYAMAチキンのベースはチキンのカレールーだが、別メニューのフィッシュ、ポークでは、少しずつ使用するスパイスを変えて提供している。

 ──お皿への盛り付け方やサラサラのルーなど、大阪のスパイスカレーに近い印象を感じますが、その辺りは意識されていたんですか?

「実は全く意識していなくて、大阪のスパイスカレーブームも全く知らなかったし、外にカレーを食べに行くこともしていなかったんです。ただ、以前からドライカレーを提供していたこともあったので、自分たちのイメージするカレーをつくってみよう、ということになったのがきっかけです。

スパイスの使い方も勉強したわけではなく、机にばーっとスパイスを並べて、イメージした味、スパイスの効き方を試行錯誤しながら作っていきました。なので、作り方が正しいのどうかもあまり分からないですし、カレーマニアの人からすると、間違ったスパイスの使い方をしているかもしれません。ただ、既存の料理のことは気にせずにやっています」

 

 ──それでこんなに美味しいスパイスカレーを作れることに驚きです。創作料理を手がけていたことが大きそうですね。

『どこにも存在しないカレーを作ろう』という意識でやっています。料理というよりは、頭の中でイメージしたものを作っているという感覚です。なので、むしろお客さんがうちのカレーを『スパイスカレー』だと定義してくれたと思っています。そういうカテゴリーのカレーなんだ、と後から認識しましたね(笑)。

でも、以前カレーのイベントに参加した際に、他の店舗のカレーを食べてすごく驚きました。カレーって本当に自由な料理だな、『混ぜライス』の発想は間違っていなかった、と。どんな人でも、自分に合った味を見つけられるのがスパイスカレーなのだと思います。今後はハーブだけを使ったカレーとか、日本の生姜を使ったカレーもありだな、と構想を練っています」

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