# 遺伝子

山中伸弥が「人類は滅ぶ可能性がある」とつぶやいた「本当のワケ」

生命科学の危険性とは何か?
山中 伸弥, 浅井 健博 プロフィール

外形も変えられ病気も治せるが……

浅井 番組の中では、どこまで最先端の科学が進んでいるのかをご紹介しました。それは、私たち素人にとってもとても興味深い内容でした。中でも、先ほど山中さんがおっしゃったゲノムを変える技術について、おうかがいしたいと思います。

ゲノムを人為的に変える技術は昔からありましたが、最近になってゲノム編集と呼ばれる新しい技術が登場して、従来よりも格段に簡単にゲノムを改変できるようになりました。この技術に注目が集まると同時に、生命倫理の問題も浮上しています。

山中 ゲノム編集は、力にもなれば、脅威にもなると思います。僕たちの研究所でも、ゲノム編集を取り入れていますが、ゲノムをどこまで変えていいのかという問題に、僕たちも今まさに直面しています。

浅井 ゲノムを辞書にたとえると、自由自在に狙った箇所を、一文字単位で書き換えられるのが、ゲノム編集ですね。

 

2012年に、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校のジェニファー・ダウドナ教授とスウェーデンのウメオ大学のエマニュエル・シャルパンティエ教授らの共同研究チームによって開発された「CRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)」と呼ばれる技術が有名です。

山中 今では生命科学研究に欠かせない技術です。

(Photo by:福森クニヒロ)

浅井 番組の中で、鼻が高くなる、低くなるといった身体的特徴の違いや、あるいはカフェインを分解しやすい、分解しにくいといった体質の違いなど、いろんな性質を決める仕組みが遺伝子研究によって明らかにされつつある状況を紹介しました。

こういうさまざまな性質は今後、コントロールできるようになるのではないかと考えられています。本当に顔の形や病気のかかりやすさなど、コントロールすることはできるのでしょうか?

山中 たとえば、ミオスタチンと呼ばれる筋肥大を抑制する遺伝子をゲノム編集によって破壊すると、種を超えていろんな動物の筋肉量が増えることが知られています。

遺伝情報に基づいて外見的、生理的に現れた性質を「表現型」と呼びますが、病気を含め、いろいろな表現型をゲノム編集によって実際に変えられることが示されています。