Photo:福森クニヒロ
# 遺伝子

山中伸弥が「人類は滅ぶ可能性がある」とつぶやいた「本当のワケ」

生命科学の危険性とは何か?

タモリさんと山中伸弥さんが司会を務めたNHKスペシャル「シリーズ人体Ⅱ遺伝子」は、今年高視聴率を獲得した番組として話題になった。背景にあるのは、現在急速に進む「遺伝子」研究への期待と不安――。技術は日々進化し、テレビで遺伝子検査のCMが流れる時代にあって、ゲノム編集で人体が「改造」されるのもそう遠くないのではないかと考える人もいるだろう。

今回、そんなシリーズ人体 遺伝子書籍化のタイミングで、特別対談が企画された。生命科学研究のトップリーダー山中伸弥さんと浅井健博さん(NHKスペシャル「シリーズ人体」制作統括)が、いまなぜ生命倫理が必要か――その最前線の「現実」を語り明かした。

 

山中さんの踏み込んだ発言

「人類は滅ぶ可能性がある」――これは収録中、司会の山中伸弥さんがつぶやいた言葉である。

私たち取材班は、番組を通じて、生命科学の最前線の知見をお伝えした。どちらかといえば、その内容は明るく、ポジティブな未来像を描くものだった。

それだけに私(浅井健博)は、山中さんの踏み込んだ発言に驚かされたが、同様の不安を視聴者も感じていたことを後に知った。

Twitterや番組モニターから寄せられたコメントの中に、未来に期待する声に交じって、生命科学研究が際限なく発展することへの漠然とした恐れや、技術が悪用されることへの不安を指摘する意見も含まれていたからだ。

それにしても「人類が滅ぶ可能性」とは、ただごとではない。山中さんは日本を代表する生命科学者であり、iPS細胞の作製という最先端技術を生み出した当事者でもある。だからこそ生命科学が、人類に恩恵をもたらすだけでなく、危険性も孕んでいることを誰よりも深く認識しているのではないか。

そう考えた私は、山中さんの話を聞くため、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の所長室を訪ねた。