投資の神様・バフェット「必勝法はただ1つ、『歪み』を見つけよ」

億万長者になるための流儀
大原 浩 プロフィール

裁定取引は投資の基本だ

バフェットは、よく「投資のアイディア」という言葉を使う。「投資で成功するためには誰も考えつかないような、「自分独自の投資手法」を生み出さなければならない」ということである。

別に、アクロバット的な取引手法を駆使するということではなく、世間の一般的評価とは違った、自分独自の視点である企業に投資することも「投資のアイディア」の1つである。

このアイディアは企業秘密なので、バフェットは誰にも言わない。ある年の「バフェットからの手紙」ではこんなブラックジョークもとばしている。

「皆さん、私が次にどの企業を買うのか大変興味をお持ちのようなので、希望者にはそっと耳打ちをしてもいいですよ。ただし、この重大な企業秘密を知った方は、私自身の手で首を締めさせていただきますが……」

バフェットの話を逆手に取れば「この株を買えば儲かりますよ」というような人は、詐欺師か、どうしようもないお人好しのどちらかであり、ほとんどの場合前者であるということである。

 

最後に投資のアイディアの参考としてある裁定取引の例をご紹介したい。

筆者がクレディ・リヨネ銀行に移った時は、東京金融先物取引所(TIFFE)の創設時期と重なっていた。まったく同じ商品がSIMEX(シンガポール国際金融取引所:当時)にも上場されていた。

理論的には、どちらの市場の価格も同じになるはずなのだが、現実にはかなりのかい離(歪み)があった。

双方の市場の参加者が異なることや、SIMEXが場たち、TIFFEが電子システムを採用していたことなど色々な理由があるが、当時はインターネット普及前で、市場情報が海を越えて伝わるのに時間がかかったことが大きいだろう。

特に、取引所立ち上げ当初は、同じ商品なのに両取引所の価格のかい離は驚くほど大きく、この事実にいち早く気がついたトレーダーは、割安になった方の市場で大量に買って反対市場で売って大儲けをした(取引所取引なので、最後はほぼ同じ清算価格で決済されるから、その差額が儲けとなる)。

その時に、スウェーデン人をボスとする国際アービトラージ(裁定取引)チームも我々と一緒に取引をした。彼らは、このような市場間のかい離を利用した取引を世界中の市場で行っていたのだ。

ただ、4半世紀前には巨額の利益を生んだ取引手法も、現在では通用しない。情報の伝達が極度に早くなり、このような歪みがほとんどなくなったからだ。

しかし、「市場の歪み」は何らかの形で必ず存在し、その歪みを他人よりいち早く見つけることが、いつの時代でも変わらない必勝法だといえる。