投資の神様・バフェット「必勝法はただ1つ、『歪み』を見つけよ」

億万長者になるための流儀
大原 浩 プロフィール

未来は予想できない、すでに起こった未来をさがせ

筆者が上田短資(イギリスの為替ブローカー「Harlow Meyer & Co」と業務提携し、上田ハーロー株式会社を設立)に在籍していた頃の鉄板ジョークにこのようなものがある。

信用金庫の理事長:「君、新聞によると、昨日の東京市場のドル円相場は高値が105円で安値が104円だよね」
為替担当の部下:「はい、その通りです」
理事長:「それでは安値で買って高値で売れば1円儲かるよね?」
部下:「はあ……」
理事長:「ばかもん! それではなぜそうしないのだ!」

今の読者から見れば、この理事長はとんでもない愚か者だが、当時は大蔵大臣が「1ドルが200円から100円になってなぜ円高なんだ? 値段が下がるから円安だろう?」と発言して話題になったくらいである。一般の人々に市場に関する知識などほとんどなかったから、前述の理事長のような人々はたくさんいたのである。

 

現在では、そのような人々はほとんどいなくなったが、逆に「市場の未来を予想する方法」=「錬金術」に血眼になる人々が多数出現した。

錬金術がありえないことは、近年の科学の発展で明らかになった。

元素は核融合で生まれるが、太陽のような恒星の高温・高圧環境でも、原子番号26の鉄までしかできない。原子番号79の金を含む、鉄よりも重い元素は、超新星(爆発)やクエーサーのように、そのエネルギーで地球が吹っ飛んでしまうほどの環境下でしか生まれないのである。

しかし、あのアイザック・ニュートンでさえ、科学の研究よりも錬金術に没頭した。錬金術に費やした時間を科学研究に向けていたら、現代の科学はもっと発展していたかもしれない……。

錬金術と同じように、未来(の市場)を見通す手法など存在しない。

9月19日の記事「投資予測に『当たり屋』はいないのになぜ『はずれ屋』は存在するのか」で述べたように、「必ずはずす=はずれ屋」は存在が可能でも「必ず当てる=当たり屋」は存在しえないのだ。

前述の記事で述べたように、「AかBかという選択はあまり意味が無い。多くの場合は、誰も考えていなかったCが起こる」ということだ。このCはいわゆる「ブラック・スワン」であることもしばしばあり、世の中の人々は、その存在さえ知らないのだ。

実際、ドラッカーもバフェットも「未来は予想できない」とする。

それでは、バフェットはどのように投資をしているのか?