「金ピカ先生」こと佐藤忠志さん(今年8月末日撮影)

「金ピカ先生」年収2億でも「老後破綻」してしまったワケ

誰にとっても他人事じゃない

かつてカリスマ予備校講師として一世を風靡した「金ピカ先生」こと、佐藤忠志氏が亡くなった。地域包括支援センターのスタッフが訪問したが返事がなく、遺体で発見されたという。

一時は年収が2億円にも達していたという佐藤氏だが、どのような経緯で孤独死を迎えることになったのか、故人の過去をあれこれ詮索するのは一般的には失礼にあたるだろう。だが、佐藤氏はカリスマ予備校講師であり、亡くなる直前にも、あえて写真撮影を許可する形でメディアの取材に応じている。

佐藤氏は生涯、根っからの教育者であり、孤独死という自身の末路も含めて、若い世代の人に何かを伝えようとしていたに違いない。そうであるならば、佐藤氏の孤独死を引き合いに、長寿社会においてお金とどう付き合えばよいのか議論することは失礼にあたらないし、むしろ敬意を表する行為だと思っている。

 

年収が増えた分だけ消費を増やしてはいけない

佐藤氏は全盛期には1コマの授業で200万円を受け取り、年収は2億円を超えていたという。だが、カリスマ講師という「役回り」だけでなく、実際の私生活もかなり派手だったようである。何台ものクラシックカーを乗り回し、8億円の豪邸を建てたという話もあった。だが、こうした浪費をやめることができず、最終的にはまったくお金がなくなってしまった。

一般的には年収2億と聞くと、それだけで一生暮らせると思ってしまうかもしれないが、ひとたび散財を始めてしまうと、2億円のお金などすぐに消えてしまう。

年収が増えると、それ以上に支出がかさみ、あっという間に生活が困窮するというのはよくある話だが、これは、フローでお金を稼ぐ人全員に関係する話といってよい。金額が佐藤氏と比べて極端に少ないとはいえ、フロー収入(いわゆる給与などの収入)がメインの一般的なサラリーマンにとってもそれは同じことである。

フローでの収入が増えると、何割かの人は、自身の経済的状況について間違った見通しを持ってしまう。

日本の所得税はかなり厳しい累進課税となっており、分かりやすく言えば、金持ちからむしり取る仕組みである。したがって、年収が増えた分だけ、税負担率が高くなる。多くの人は知識としてこの話を知っているが、現実の生活になると、それを忘れてしまうのだ。