良く分からない人達が団体を立ち上げまくるeスポーツという「地獄」

「eスポーツは金になる」という幻想
但木 一真 プロフィール

ゲームのことを知らないゲームの業界団体

“○○県eスポーツ協会”、“○○市eスポーツ協会”という名前の団体は誰にでも立ち上げることができる。WEBページを開設し、SNSアカウントを作り、「私たちは〇〇eスポーツ協会だ」と宣言すればよい。

誰でも名乗れる、というのがトラブルの原因だ。同じ県、同じ市で複数の団体が立ち上がるという事例は1つや2つではない。多くの団体が「我こそはこの地域の代表だ」というスタンスで活動をはじめ、著名人を招聘したイベントを開催して既成事実を作り、なし崩し的に代表としての地位を確立しようとする。

eスポーツがメディアに取り上げられ、多くの人の関心を集めるようになると、途端にきな臭い出自の団体が出始めた。「地元の有力者が金を出している」、「有名人が後援している」、「他のスポーツの協会が公認している」といったものだ。

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先日、私はとある団体の広報を名乗る人物に話を聞く機会があった。

「団体ではどのような活動を行っていくつもりですか?」

「全国各地にeスポーツのコミュニティをつくります」

「どのようなゲームのコミュニティをつくるのでしょうか」

「どんなゲームでも構いません」

「特に団体が注目しているのはどのようなゲームですか」

「そう言われましても、私はゲームのことがわからないので……」

 

担当者から渡された全面カラーのパンフレットを読むと、芸能人や元アスリートが写真付きで団体のアンバサダーとして名前を連ねている。ゲームを知らないゲーム団体が、コミュニティや地域創成といったきれいごとを並べ、有名人を使って団体の信頼性を補完する。果たしてこのような団体がeスポーツの振興を担えるのかは甚だ疑問だ。

eスポーツという言葉は今までゲームに関心を示さなかった層の人たちにも浸透した。しかし、言葉が浸透する速度が速すぎたため、多くの人に「eスポーツは金になる」という妙な幻想を植え付けたのかもしれない。そしてこのような幻想もあわせて植え付けたのだ。「権利を囲うなら今のうちだ」と。