2019.11.04
# 免疫学

子供がかぜをひいても、「受診」や「かぜ薬」が必須ではない理由

押さえておきたいかぜの自然経過

13歳くらいになるとこの予防効果は消えてしまいますが、乳幼児の早期にかぜを繰り返しひくことで、将来(学童期)にかぜにかかりにくくなるのです。

小さなお子さんがかぜを繰り返しているとつらい気持ちになってしまうかもしれませんが、必ずしも悪いことばかりではないのです。

受診の目安を知りましょう

「こどものかぜに有効な薬がないなら、どうしたら良いのでしょうか……」

このように絶望感を覚えてしまった保護者もいるかもしれません。ですが、落ち着いて考えてみてください。

 

ひょっとしたら保護者の方々が思っているよりかぜ症状は長く、そうと知らずにお子さんを見てきたのかもしれません。そして、ほとんどのかぜは基本的に自然に治るのです。

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小児科外来をしていると、軽い咳・鼻水で毎週のように受診され、診察された医師から十分な説明もなく、毎回のように「かぜ薬や抗生剤」が処方されていることがあります。

毎回のように受診して薬をもらうのが当たり前になってしまうと、「かぜは自然に治る」という過去の膨大なデータからも支持された当たり前のことが、信じられなくなってしまいます。

私を含む多くの小児科医は、そんな保護者の方々をたくさんみてきています。

現状では、小児のかぜに十分な有効性のある薬はなく、内服をすれば副作用の危険性は高まります。

このため、軽い咳、短期間の鼻水だけであれば「様子をみてみる」という選択肢があることを覚えておくと良いでしょう。

小児は年に5~8回ほどかぜをひきます16。これまで医療機関に受診して、毎回のように薬をもらっていた方が、「かぜ薬は効かないから」と、急にやめてしまうことに不安や抵抗がある方もいるでしょう。

特に、お子さんの状態が重症か否か判断がつかないような場合、「何か変」と感じるような時18は医療機関に受診してもらっても、もちろん構いません。そのために小児科医や家庭医の先生がいるのですから。

また、受診の目安を知っておくと良いでしょう。大まかな受診の目安ですが、

・生後3ヵ月未満のお子さんの38度以上の発熱
・半日以上、水分が全く取れない
・あやしても不機嫌がずっと続く
・呼吸が苦しそう
・けいれん(ひきつけ)を起こした

などは、緊急で受診が必要な状態です。また、緊急ではありませんが、

・38度以上の発熱が4〜5日以上続く
・咳や鼻汁が2〜3週間以上続く
・耳を痛がる

なども一度は医療機関を受診された方がよいでしょう。

一方で、お子さんのかぜは、ほとんどが軽症で済みます。受診を繰り返し、少しずつ子供のかぜに慣れてきたら、

・前回の薬は必要だったのかな?
・このくらいなら自宅で様子を見れそうかな?
・医療機関は受診しなくても大丈夫かな?

と思う感覚を徐々に育てていきましょう。

「かぜをひいたらすぐ受診して薬をもらう」という感覚から一歩踏み出し、「かぜは薬がなくても自然に治る」という感覚を、少しずつ医療者とともに育てていくことも私は重要と考えています。

ポイント
・薬はなくても「かぜは自然に治る」

〈参考文献リストはこちら〉

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