グレタ・トゥーンベリさん「怒りのスピーチ」を批判するすべての人へ

「普通」ではないと笑っていいのか…
原田 隆之 プロフィール

アスペルガー障害

グレタさんは、アスペルガー障害であることを公言している。これは、高機能自閉症の一種で、対人関係がぎこちない、暗黙のルールが理解できない、興味の対象が独特である、などの症状が見られる。

彼女が気候変動のことにこれだけ集中できるのも、「空気を読まずに」一途に行動したり、発言したりできるのも、その「障害」と関連があるのだろう。彼女自身、「私にとって、ほとんどのことが白黒どちらかなのです」と述べている。

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しかし、これは「障害」というよりは、間違いなく彼女の個性であり、強みである。「普通」ではないことが、本人の生活や適応に問題を来しているのであれば、それは「障害」であり治療も必要であるかもしれない。

一方、本人がそれを生かして、自分の人生を豊かなものにしているのであれば、何もわざわざそれを「普通」に矯正してしまう必要はない。むしろ、その個性と強みを存分に発揮することが、本人の幸福につながるだけでなく、周りの人々や社会全体に対して大きな影響力を発揮できるからだ。

 

われわれは誰だって、多かれ少なかれ、気候変動や温暖化の問題には関心はあるし、不安もある。しかし、目先の仕事や生活にかまけて、それをないもののように考えたり、忘れたりしているのが常である。

それに対して、彼女のような「個性」を持つ人々は、そうではない。日常の些末な出来事に心を揺り動かされることなく、一点集中して物事を突き詰めることができるのだ。

スロベニアの哲学者スラボイ・ジジェクは「彼女のメッセージはシンプルだ。科学を真剣に受け止めろということだ」と述べ、「彼女のような自閉症的な女性が必要なのだ。なぜなら、彼女のメッセージは美しく、疑いようもなく正しいからだ」と賞賛している。