# アパレル # サブスク

好調のレナウン「スーツサブスク」AOKIと成否を分けた3つの要因

大企業が失敗する落とし穴
小宮 紳一 プロフィール

成功への全社意識が欠如していた

前述のようにAOKIのsuitsboxはビジネスの構造上の問題点があった。しかし最大の問題点は、全社で新規事業を成功させていこうというマインドの欠如にあったのではないかと筆者は考えている。

その根拠は、6ヵ月というスピード撤退だ。サブスクリプション・ビジネスは利用者の長期利用が前提となるだけでなく、企業サイドにおいても長期の事業継続が前提条件となる。ビジネスの成否の見極めは、できれば2年、最低でも1年以上は必要だ。にもかかわらず半年という短期間で事業終了した背景には、suitsboxの利用者が想定していた20代~30代ではなく40代がメインだったことで、リアル店舗で展開する既存事業とのカニバリズムが問題視されたことが推察される。

 

四半期ごとに経営成績が問われる大企業において、既存事業とは全く異なるコンセプトの新規事業を立ち上げるのは簡単なことではない。AOKIの場合、既存事業がリアル店舗で商品を売り切るビジネスであるのに対し、サブスクリプション事業は会員から利用料を、少しずつ継続的に受け取るビジネスである。大企業で、このように全くビジネス形態の違う新規事業を育てていくには、トップダウンにより全社への理解と協力を長期間、求めていくことが必要なわけで、新規事業の育成という観点からも半年で撤退というのはあまりに短すぎると言えよう。

サブスクリプションは簡単なビジネスではない。しかし、会員数が安定し損益分岐点を超えた時点で、企業に安定的かつ継続的な収益をもたらすようになる。そして何よりも大きな利点は、顧客との長期的な関係性を構築できることにある。顧客の要望を継続的に商品やサービスに反映させていくことで、商品やサービスはより改善され、競争力を高めていくのである。

トップダウンによりスタートしたレナウンの着ルダケは、悪戦苦闘しながらも現在まで継続することで、スーツレンタルの分野で一強の地位を固めつつある。加えて、AOKIの早期撤退がレナウンの追い風となり、成功の一要因になっていることも間違いないだろう。