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好調のレナウン「スーツサブスク」AOKIと成否を分けた3つの要因

大企業が失敗する落とし穴
小宮 紳一 プロフィール

スーツのレンタルモデルでは、商品の調達・管理、会員ごとの商品選定と個別配送、返送品の受け取り、返送品の検品・修繕、クリーニング、保管、再配送という非常に複雑な物流システムを構築する必要がある。Eコマースも個別配送だが、配送すれば終わりであり、返送・再配送を伴うサブスクリプションの複雑さとは比べものにならない。当然、物流にかかる手間や費用は、非常に大きなものになる。

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着ルダケが半年に一度の配送であるのに対し、suitsboxは会員ごとのサイズやスタイリングの要望に合わせてアイテムを用意し、さらに月1回は無料で交換可能という形態をとった。これが想定以上の費用負荷となって、事業経営を圧迫したことは想像に難くない。パーソナライズは現代型サブスクリプションの重要な要素だが、はたしてsuitsboxが物流にかかる手間と費用を十分に精査していたかどうかは疑問である。

2つ目の問題点として挙げた料金設定はどうか。料金設定はサブスクリプションで最も難しい要素と言われている。なぜなら一般的な商品価格設定と違い、「継続して支払い続ける」という要素が加わるからだ。

 

本来、サブスクリプションでは、対象とする利用者が納得感を持って無理なく払い続けられる料金を設定する必要がある。しかしsuitsboxでは、スタンダードとして設定された月額が1万5800円(スーツ2着)。事業者サイドからすれば様々なコストを積み上げて決定した料金設定なのだろうが、年額に換算すると約19万円。AOKIの実店舗で数着分のスーツが購入できる金額だ。現在、消費性向が最も低いといわれる20代、30代層を考えるとやはり高すぎる。

これに対して後発の着ルダケは月額4800円で、AOKIよりも2倍多いスーツ上下2着・2シーズン分(計4着)が利用できる。サブスクリプション・ビジネスでは利便性だけでなく「お得感」を感じてもらうことが重要だが、この点でも明らかに差があった。

さらにAOKIのサブスクには、このようなビジネスの構造上の欠点に加え、もう1つ大きな問題があった。