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好調のレナウン「スーツサブスク」AOKIと成否を分けた3つの要因

大企業が失敗する落とし穴
小宮 紳一 プロフィール

スタート時よりAOKIの4名の若手社員(平均年齢29.5歳)がプロジェクトメンバーとして着任し、企画立案や調査を実施したsuitsbox。ターゲットは都市部在住のミレニアル世代。20代~30代を対象に調査を行い、「ビジネスウェアは高い」「保管場所を取る」「クリーニングなどのメンテナンスが手間」などのニーズを抽出。さらにクラウドファンディングにも挑戦して支援者を募集し、目標金額を達成したことで事業化を決定した。

また、同サービスはAOKIの記念すべき創業60周年プロジェクトでもあった。そのため、既存のAOKIの業態ではリーチできなかった世代への新サービスとして、1万人の利用者獲得を目指してスタートしたのである。

しかし蓋を開けると、同年11月にはサービス終了が発表され、約6ヵ月での事業撤退となった。メディアの報道によれば、撤退の理由として「実際の利用者の年代は40代が中心であり、狙いとのずれがあった」「ユーザーの満足度を高めるためには商品構成が難しい」などが挙げられ、結果「システム構築費ならびにサービス運用コストがかさみ黒字化が見込めない」という判断に至ったとのことである。

このように、同じサブスクリプション形式のスーツ・レンタルサービスを開始しながら、レナウンとAOKIで明暗が分かれる結果となった。この成否を分けた要因は一体、何であろうか。

 

物流システム、料金設定の難しさ

AOKIのsuitsboxはサブスクリプションのビジネスモデルとして、2つの大きな問題があった。それは「物流システムの設計」「料金設定」である。

洋服や家具など物が介在するサブスクリプションで、最も重要なのは物流とITシステムの構築だ。この設計がいい加減だと、サブスクリプション・ビジネスは成立しない。そこでまず、物流について考えてみよう。AOKIの従来からのリアル店舗を基軸とするファッション事業であれば、グループ店舗への一括納品で済むところが、サブスクリプションでは全会員に対して個別対応しなければならない。