全国紙でも進む「リストラ・支局統廃合」新聞記者の苦悩と見えぬ未来

生き残りの道はあるのか?
松岡 久蔵 プロフィール

当局発表を書き写すだけの若手たち

筆者は7月17日の「新聞『部数も広告収入も激減』の苦境…税金頼みの危うい実態」で、既得権益化した新聞業界の実態と、腐敗する一方の大新聞について「つまらないものしか出せない組織は退場すべき」と書いた。旧態依然の広告収入モデルや記者クラブ制度に支えられた新聞社・通信社からは、政治家や有力企業、中央官庁などの権力にコントロールされた報道しか期待できないからだ。

最近でも、読売新聞グループ本社前会長の白石興二郎氏が新聞業界からは異例のスイス大使に抜擢されたり、日経新聞の編集局次長がトヨタのオウンドメディア「トヨタイムズ」に出向したりするなど、大手メディアが権力にすり寄って恥じない風潮、「権力の監視」を建前ですら放棄する風潮が強まっている。世間を騒がせるニュースの大部分は、記者クラブに属さない週刊誌へのタレコミが震源になっている事実も、それを裏付けている。

 

10月1日からの消費増税にからめて言えば、新聞だけが「民主主義を支え、国民に知識・教養を広く伝える公共財」(日本新聞協会)との名目で軽減税率の対象となり、雑誌や一般図書が除外されたことも、新聞への反感をより強めている。ベテラン週刊誌記者は、記者クラブメディアの現状についてこう嘆く。

「記者クラブに属する記者は、当局が出すペーパーを横から縦にするだけで、ほとんど一日中取材らしい取材をしないのが今や普通になっています。通信社を使えばよさそうな誰が取材しても変わらない短いネタまで、テレビを含めて10社以上で同時に取材し、場合によっては中身をお互いに確認し合って同じ内容の記事ができあがるのだから、壮大なムダですが、この『護送船団方式』を崩す気は全く見られません。

マスコミが新卒採用の人気業種から姿を消して久しいですが、業界のレベルの低さがネットやOB・OG訪問を通じて学生にもバレているのだから当然です。若手記者も、先輩たちが当たり障りのない会見の書き起こしのような仕事をしている様子しか見ていないため、決まった仕事しかできない『いい子ちゃん』ばかりになって、現場に緊張感が全くない。『たとえ記事にならなくても、権力者を追及するために取材するんだ』という凄みがないんです。

私が知っている記者でも、骨のある人間ほど居づらくなって辞めていく。残るのは、新卒でハイヤーを乗り回す『新聞記者様』のステータスと高給にしがみつく人ばかりです。

記者クラブに入れない我々週刊誌的には、新聞記者の人材の層が薄くなると、記者クラブや役所などの内情を仕入れるルートが弱くなり、商売にも影響が出ます。かつては『小遣い稼ぎ』や『本業で書けないことを書きたい』といった理由から、週刊誌に協力して世間に波風を立てようとする記者が一定数いたものですが、最近は副業がバレて処分されるのが怖いのか、めっきり減りました。

『週刊誌で記事が出ると、追いかけるのが面倒くさいからやめてほしい』と平気で言う新聞記者もあまりに多く、新聞の斜陽ぶりが肌感覚でわかりますね。このままでは『新聞も出している不動産屋』と揶揄されても仕方ない」

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