セクシーどころか…小泉進次郎が語るべきだった「温暖化対策の真実」

もう少し日本は胸を張ってもいい
町田 徹 プロフィール

ニューヨークで9月23日に開かれた「国連気候行動サミット」の開幕式で、気候変動対策を求める「学校ストライキ」を始めたスウェーデンの16歳の少女グレタ・トゥンベリさんが発した言葉「How dare you!(よくもそんなことを!)」が、大きな話題を呼んでいる。世界各国の対策が美辞麗句だけの無責任なものだとして、アスペルガ-症候群などのハンディキャップをものともせず、演説の中で力強くあの言葉を繰り返す姿は、多くの人の胸を打った。

国連気候変動サミットでスピーチを行うグレタ・トゥンベリさん/Photo by gettyimages

少女と対照的に、SNSで強い批判を浴びているのが、このサミットに出席した小泉進次郎環境大臣の「気候変動への取り組みは楽しく、クールでセクシーに」という発言だ。記者会見で、「グレタさんの言葉はとても印象に残り、私も含めてみんなが重く受け止めたと思う」とべた褒めする一方で、「今のままでいいとは思っておらず、日本ももっと存在感を示さなければならない」と述べるにとどまり、火力発電の削減策を問われて絶句したことに厳しい論評をされているのだ。

今日は、日本の温暖化対策が国連の場でどのように映ったのか、小泉大臣は何を発信すべきだったのかを考えてみたい。

ちなみに、筆者は、今年4月に、環境省の中央環境審議会の地球環境部会と経済産業省の産業構造審議会・産業技術環境分科会・地球環境小委員会の合同会合がまとめた最新の施策「パリ協定長期成長戦略」を、国際公約として発信し、日本が火力発電の削減に具体策をもって真摯に取り組もうとしていることを理解して貰うべきだったと考えている。

 

小泉大臣の発言は逆効果

まずは、グレタさんや小泉大臣が注目される場となった「国連気候行動サミット」について、簡単に説明しておこう。

ニューヨークの国連に各国の首脳級が集まる大規模な気候変動の会合が開かれたのは、2014年以来、5年ぶりのことだ。今回のポイントは、国連のグテレス事務総長が、2020年から世界各国が気温の上昇を産業革命前に比べて2度未満に抑えることに合意した「パリ協定」が本格的に始動するのを前に、各国に改めて目標上積みと取り組みの加速を求めていたことだ。その背景には、すでに平均気温が1.5度上昇しているとの研究結果があるという。

前倒し目標は「2050年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする」というもの。そのための具体策として、石炭火力発電所の閉鎖と新設禁止、CO2(二酸化炭素)の排出に金銭的な負担を義務付ける「カーボンプライシング(炭素値付け)」の導入などを掲げていた。

しかし、会議中は、パリ協定加盟国間の温度差が目立った。グテレス事務総長は、2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにすると約束した国家が77ヵ国に達したと誇示したが、この数は、国連加盟国の4割程度に過ぎない。

こうした状況が、16歳の環境活動家グレタさんの演説が注目される背景にはあった。気候変動対策に背を向け、次世代にツケを回しているにもかかわらず、「緊急性は理解している」などと釈明する大人たちに、「How dare you!」と怒りに声を震わせて訴える少女が、多くの人の共感を集めたのである。

ちなみに、グレタさんは、気候変動対策を求める若者たちの運動「学校ストライキ」を始めた人物だ。この運動は世界中に広がり、サミットに先立つ9月20日には、150ヵ国以上で約400万人の若者がデモ行進をしたという。

 

このサミットに出席した小泉環境大臣は、グレタさんの迫力に気圧され、「重く受け止めた」と述べるのがやっとだった。なんとか言葉を繋いだものの、出てきたのは「今のままでいいとは思っておらず、日本ももっと存在感を示さなければならない」という卑下するかのような発言で、これは政府・環境省の立場を正確に代弁したものとは言い難いはずだ。

結果として、この発言が逆効果になったことは明らかだろう。日本はロクに対応をしておらず、一方的にパリ条約から離脱したアメリカや、温暖化ガスの最大の排出国である中国と大差なく、積極的な国際貢献をしない無責任な国家だという印象を与えかねないからだ。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら