世界が震撼したテロ…丸腰の人々が過激派テロリストに立ち向かった

実話を映画化した監督が語る衝撃の事実
此花 わか プロフィール

知らない人々を“あっち側の人”にしてしまう私たち

――確かに様々な文化的・宗教的背景をもった人物が登場しています。特に、デヴ・パテル演じるホテルの給仕のアルジュンは、頭にターバンを巻くシーク教徒で、これまで映画ではあまり描かれてきませんでした。

マラス監督:映画でも語っていますが、シーク教徒はインドではもともと戦士の階級です。911事件の直後、アメリカではシーク教徒のインド人が攻撃を受けました。中東系に見える人たちはみんながイスラム過激派だと思われてしまったんです。無知と教育の欠如が偏見や差別を生み、私たちは自分たちが知らない人々のことを必要以上に怖がり、“あっち側の人”として壁を作ってしまう。

『ホテル・ムンバイ』より

――ホテルの従業員であるアルジュンは脱出のリーダー的な存在です。一方、アーミー・ハマー演じる裕福なアメリカ人のデヴィッドはテロリストに追われる立場です。アルジュンとは対照的な彼を登場させたのはなぜでしょう?

 

マラス監督:デヴィッドは実在の人々を融合させた人物で、彼の妻はイスラム教徒であり、世界がいかに多様な民族で出来上がっているかを象徴する存在です。デヴィッドと彼の妻は、二人が一緒にいると逃げる時も殺される時も同じ運命をたどってしまうから、子供のためにどちらか一人でも生き残られるように、あえて別行動をし他人のフリをします。このような行動をとった夫婦が本当に事件にいたんです。

『ホテル・ムンバイ』より