女性はなぜ「花」にたとえられるのか

2015年春、駅ビル型ショッピングセンター・ルミネがYouTubeにアップロードしたCMが批判を呼んだ。会社員のヨシノという女性が先輩社員の男性から「寝てそれ?(寝不足でもないのになぜそんなに性的魅力のない顔なの?)」「大丈夫だよ、ヨシノと(フェミニンな服装と髪型の、先輩社員が気に入っている女性)は需要が違うんだから」と言われたあと、画面には次のように表示される。

【需要】求められること。この場合、「単なる仕事仲間」であり「職場の華」ではないという揶揄

そして「最近、サボってた?」「変わりたい? 変わらなきゃ」というコピーで映像は締めくくられる。

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職場の華。女性はしばしば華や花にたとえられる。花が人間の顔に見える、というのはよくわかる。花柱や花糸を目鼻になぞらえ、花弁を髪に見立てたキャラクターはたくさんいる。しかし、顔のパーツをあてがうだけなら女性でも、男性でも、その他でも大差ないはずなのに、なぜか花は圧倒的に女性と結び付けられる。なぜだろう?

〔ILLUSTRATION〕はらだ有彩

曲線的なフォルムや鮮やかな配色がレディスファッションのステレオタイプを呼び起こすからだろうか(レディスファッションに花モチーフが多いのは、卵が先だろうか、にわとりが先だろうか)。花茎の細く柔らかいラインが、風に揺れる様子が、いわゆる「女性っぽい」体型と繫がるのだろうか。受粉し結実するサイクルが妊娠・出産を想起させるのだろうか(送粉元も同じく花であるが)。送粉者である虫を呼び寄せる様子と、女性に求められることが多い「甘い香り」や「装飾された外見」や「セックスアピールのある肉体」とが混同されたのだろうか(送粉者にもメスの個体とオスの個体がいるが)。

まさか「自ら動くことなく視界を賑やかせる」という特性に女性性を見出したわけではあるまい。よもや咲いてから散るまでの期間の短さと、経年による見た目の変化をリンクさせたわけではあるまい。