NHKは日本郵政の「圧力」になぜ屈したか、ウラに隠された事情

「放送法改正」という「人質」があった
竹中 明洋 プロフィール

NHK内部の「圧力」

番組制作幹部の舌足らずな説明に対し、揚げ足をとるかのような形で抗議してきた日本郵政に、NHKがいとも容易く屈服したのには、こうした背景があるというのが、複数のNHK関係者が口々に語るところだ。

振り返ってみれば、NHKの看板番組である「クローズアップ現代+」やその前身の「クローズアップ現代」の制作現場は、これまでにも幹部の圧力に晒されてきた。

2014年7月には集団的自衛権について取り上げた放送で、キャスターの国谷裕子氏が出演した菅義偉官房長官に憲法解釈の変更などについて質問を繰り返した。その後、番組終了後に秘書官が「いったいどうなってるんだよ」とクレームをつけたと報じられると、菅長官が自らそれを否定する異例の事態となったが、この一件はNHK上層部で大きな問題となり、のちに国谷氏のキャスター降板にいたるきっかけになったという。

 

2017年3月に森友学園問題を取り上げた際には、自殺した近畿財務局の職員にフレームアップしないよう、報道局長が強く求めたほか、今月5日に「あいちトリエンナーレ」を取り上げた際には、慰安婦をモチーフにした少女像を制作した韓国の芸術家夫妻をインタビューした内容に、別の幹部が「聞いてない」と激怒したという。

「報道局長が介入してくるたびに、局長の名前の頭文字をとって『Kアラートが発動した』と、局内では囁かれています。政権の意向に配慮してのものだと思われますが、制作現場は萎縮せざるを得ません。森友学園問題のような政治的に微妙なテーマの放送を意図的に遅らせるということも常態化しています」

NHKの関係者はそう話す。

今年7月の参議院選挙では、NHKのスクランブル化を主張するNHKから国民を守る党の立花孝志氏が当選した。立花氏がこれまでのようにネットで発信するだけでなく、国会議員となったことの影響は大きい。メディアに登場する機会も多くなった。これに危機感を強めたのだろう。NHKで国会対策を担う経営企画局の職員らが、自民党幹部の接待に躍起になっていると聞く。

政治からの圧力に弱いNHKの体質はまだまだ続くのか。

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