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衝撃…アマゾン潜入「機械が主役、人は屈伸するだけ」のヤバい実態

救急車で運ばれる労働者もいる
「私がアマゾンの物流センター内部に足を踏み入れるのは15年ぶり」――。ジャーナリスト・横田増生氏が世界的巨大企業の衝撃の実態に迫る『潜入ルポ amazon帝国』(小学館)を上梓した。じつは海外にもアマゾンの物流センターに潜入したジャーナリストたちがいる。彼らはいったい何を見たのか?

潜入取材をするジャーナリストたち

私は小田原の物流センターで潜入取材が終わった後の18年3月、ヨーロッパに行き、イギリスとフランス、ドイツの3ヵ国を約1ヵ月かけて取材した。

アマゾンを海外で取材するのなら、本社があるアメリカだろう、というのは正攻法の考え方である。

しかし、私は前著『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』を書くとき、市川塩浜の物流センターに潜入したことを伏せ、「(本社のある)シアトルに行く用意がある」と、取材をお願いしたにもかかわらず断られている。

文庫版を補筆するとき、再度、取材を申し込むが、当時の広報担当者から「あなたの本には、ウソばかり書いてありますので、取材は絶対に受けません」という名誉毀損まがいの言葉を吐かれていた。

今回もまたアマゾンジャパンへの正面からの取材のお願いは、あっさりと断られた。ベゾス本人にも、メールで取材のお願いをした。ベゾスのアドレスは jeff@amazon.com であり、公表されている。それについても、アメリカの広報担当者から断りの返事をもらった。

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アマゾンの本社で直接取材できるのなら、取材先には迷わずアメリカを選ぶ。しかし、それがかなわないとなると、どうしたものだろうか……。

私はネットでさまざまな情報を調べてみた。

その当時、アメリカにおけるアマゾンの立ち位置をよく表していると思えたのが、アマゾンの第二本社の立ち上げにまつわる狂想曲である。

 

17年9月から1年以上の検討期間をかけ選考を行った。アメリカだけでなく、カナダやメキシコを含む200以上の都市・地域が第二本社の候補地に立候補し、なかには既存の市の名称を《アマゾン市》に変更するとする候補地もあった。

日本では、私企業の第二本社の獲得に、地方自治体同士がさまざまな優遇措置を提示し、競争することは考えられないが、各州の独立の度合いが強いアメリカでは頻繁に起こる。

結局、18年11月、ニューヨーク市と、ワシントンD.C.近郊のアーリントンの2ヵ所に第二本社が設立されることが決まった。

「新本社が来る2ヵ所には、平均年収15万ドル(約1700万円)を超える計5万人以上の働き口と、合わせて50億ドルの投資が新たにもたらされる」と新聞は伝えた(朝日新聞、18年11月16日付)。

数多くの高給取りの雇用を生み出すアマゾンが手にした優遇措置は総額で約20億ドルを超えるとされた。この熱狂的な歓迎の中に、アマゾンに対する批判精神はほとんど感じられなかった。

その後、ニューヨークの州議会や市議会の議員たちが、州知事や市長がアマゾンに約束したその多額の優遇措置に強く反発し、トップダウンで進めた企業誘致にノーを突きつけ、アマゾンがニューヨークに第二本社を構えるのを諦めるのは19年2月のこと。

しかし、少なくとも、私が海外の取材先を探している時点では、アマゾンの第二本社騒動の狂乱の最中で、それはアメリカが国を挙げてアマゾンを歓迎している証のようにみえた。

それと比べると、ヨーロッパには、アマゾンのプラスの面だけでなく、マイナスの面も追及している人たちが多いことがわかった。アマゾンの租税回避の問題や不買運動、労働組合運動の必要性など幅広い問題意識を持ってアマゾンという企業をとらえている人たちが数多くいることを知った。