海上自衛隊、観艦式で若者世代に猛アピールの「なりふり構わぬ事情」

隊員が、足りない…
半田 滋 プロフィール

安定した不人気ぶり

海上自衛隊は、訓練で世界一周する遠洋航海などがあり、陸海空自衛隊の中では、海外へ行く機会が多い。ソマリア沖の海賊対処のため、アフリカのジブチに設けた自衛隊初の事実上の海外基地も海上自衛隊が管理運営している。

それでも海上自衛隊への入隊希望者は少ないのだろうか。

防衛省幹部は「そもそも自衛隊への入隊希望者が減っている。隊員不足に悩んでいるのは海上自衛隊ばかりではない」と話す。民間の雇用状況が悪くない中、団体生活を余儀なくされ、規則にも縛られる自衛隊は、若者の目には魅力的な職場とは映らないようだ。

 

自衛官の定員24万7154人に対し、現員は22万6547人で充足率は91・7%(本年3月31日現在)。この9割という充足率は、もう何年も変わっていない。常に1割が欠員ということになる。

防衛省は慢性的な隊員不足を解消しようと昨年10月、採用年齢の上限を26歳から32歳へと一気に6歳も引き上げた。

今回の観艦式の「青少年券」の年齢制限である「高校1年生から30歳まで」は、まさに防衛省が広げた採用年齢層にあたる若者たちを狙ったものだ。

自衛隊の採用区分には、幹部の「将官」や「佐官」になるための一般幹部候補生、2年から3年の任期がある自衛官候補生のほか、中堅幹部の「曹」になるための一般曹候補生などがある。このうち自衛隊の組織を支えて、人数も必要なのが一般曹候補生だ。

陸海空自衛隊の一般曹候補生の応募倍率をみると、最近7年間で陸上自衛隊と航空自衛隊が最高で11倍を越えた年がある一方、海上自衛隊は最高でも5・2倍どまり。陸上、航空自衛隊の最高倍率の半分にも及ばない。(グラフ参照)

目立って倍率が下がった年がない代わり、急上昇した年もなく、低倍率のまま推移している。言葉は悪いが、「安定した不人気ぶり」なのだ。

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