中国人が日本の「観光公害」の原因、という考えは間違っている

観光公害を引き起こしているのは誰か
アレックス・カー プロフィール

本当の意味での「開国」を遂げられるか

しかし、社会、経済、文化それぞれの分野では、その閾値超えに対する準備がまだできていません。問題は日本だけでなく、世界各国に共通するものですが、とりわけ日本において注意すべきは、日本ではインバウンドが爆発的に増えるまで、本当の意味での「開国」を経験していなかったことにあります。

IT革命が本格化した20世紀末から世界の潮流は激変しましたが、日本は金融、通信、法律、行政、教育など、社会のあらゆる面で、システムのアップデートが遅れました。既存の老朽化したシステムにサビが出て、埃がたまり、ガタが目立ち始めたところに、さまざまな国から、さまざまな人たちが、「旅行」「観光」という名目で流入。そのような入国インパクトを急に経験したことで、問題は一気に表面化しました。

自国に対する、外部からの有無をいわせぬ変化としての「開国」は、ほんの4、5年前に始まったばかりです。それが日本にとって、どれだけの衝撃であるかは、想像に難くありません。

それゆえ観光を有益な産業にするためには、十分な覚悟が必要となります。これまでとは違う対応、方策を、クリエイティブに考え、生み出していくことが重要になるのです。

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