今回、国内でのデングウイルス感染の可能性の高い患者が報告された沖縄県では、既に蚊の駆除などに乗り出しているが、今後も日本全土で輸入患者が報告されることは確実なため、ウイルスを媒介する蚊が活動する11月くらいまでは、国内感染による患者報告の可能性は十分にあり得る。つまりは決して油断はできない状況だ。
デングウイルスに感染しても約4分の3は何も症状が起こらないか、デング熱とは気づかないほど軽度な症状で終わる。
しかし自覚症状が出るような人では、感染から2~14日の潜伏期間を経て、突然の40℃前後の高熱、頭痛、目の痛み、結膜充血や顔面紅潮などが最初に起こり、その後筋肉痛や関節痛、全身倦怠感、さらに胸などにできた発疹が全身に広がる。おおむね発症してから1週間程度で症状は治まる。
このように書くと、「感染しても問題ないのだろう」と考える人もいるかもしれないが、そのような考え方は禁物だ。
デング熱を発症した患者の1~5%程度では、血液の成分である血漿(けっしょう)が血管の外に急激に漏れ出したり、出血性のショック状態の「デング出血熱」を引き起こし、時に死に至ることがある。
今年8月末までのフィリピンの流行では、デング熱患者の250人に1人が死亡している。