消費税があがった。モノを買うのを一切控えるというよりも、本当に買いたいものを見極めるいいチャンスと考えるのがいいのではないだろうか。20年間パリに住み、現在日本に帰国しているエッセイストの吉村葉子さんのベストセラー『お金がなくても平気なフランス人、お金があっても不安な日本人』より、オンラインで初めて記事を抜粋掲載する12回目は、ケチと言われるフランス人の「モノ」に対する価値観をご紹介しよう。

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管理職たちが猛烈に仕事をするのがフランス

日本人は働き者だし、勤勉な人種にちがいない。世代によるという人もいるけれども、よその国の人たちにくらべれば、若者たちもよく働く。フランス人は働かないといわれるけれども、みんながみんな働かないわけではなく、トップの人たちは実によく仕事をする。たとえば故ミッテラン大統領など、多忙な在任中になん冊もの著書をのこしている。それもゴースト・ライターに書かせたのではなく、寸暇を惜しんでの執筆である。高級レストランのシェフたちも、私たちの想像を絶するほどの労働時間だ。夜明け前、パリ郊外のランジスという中央市場に自ら仕入れにいき、厨房に入って深夜まで、エネルギッシュな一日がくりひろげられる。

トップ以下の管理職たちが猛烈に仕事をするのが、フランスなのである。ところが、どんなに働いたからといって、えらくなる見込みのない人たちの仕事ぶりは緩慢そのもの。パリの郵便局や駅の窓口が混雑しているのも、スーパーのレジに長蛇の列ができるのも、そこで働いている彼らの能率の悪さのせいだ。郵便局や駅の窓口、スーパーのレジのお姉さんとか、フランスを訪れた私たちの目につく場所にいる人たちが怠惰であるがゆえに、とかくフランス人全員が働かないという印象が私たちに根づいてしまうのである。アッパー・ミドルあたりからのフランス人は、大変よく仕事をする。その点、日本はフランスと正反対だ。

日本の場合は、中間管理職以下の労働者が素晴らしくよく働く。郵便局の窓口にいる職員の対応は、信じがたいほどスピーディーだし、市役所の係員、スーパーの店員、掃除のおばさんまで、彼女たち彼らの勤勉さには頭がさがる。ちょっとした誤解や手ちがいが生じようものなら、すぐさま彼らはすいませんでしたといってあやまる。そしてお客たちは、迅速なサービスが当たり前だと思ってしまう。なにかにつけて対応の悪い外国生活に慣らされていた私は、わが国はサービス大国に思えてしかたがない。そんな私の最大の驚きは、宅配便である。

フランスでは大切なものは宅配便で送ってはいけないという。なくなったり、期日に届かなかったりということが「通常」なのだ。日本の宅配便は本当に素晴らしい Photo by iStock