「めろんさんも慰謝料用意したほうが…」
その3)ケチ
単なるケチエピソードと思えるが、ぼくの見立ては違う。これはかなり父としての自覚が芽生えている。自分がすべての面倒をみなくてはいけないといううっすらとした不安から、突如として緊縮財政を発動させてしまっているのだ。つまりこれは家族の一員として経済観念が発達してきた証拠なのである。悪いことではない。問題は発動するタイミングがおかしいことだ。
ぼくの経験上、家計簿などをつけているとこれが起きやすい。そのままにしておくと頭がおかしくなるので、やめさせよう。今に集中して楽しいことを考えさせた方が良い。
その4)見栄っ張り
これも前述したように緊縮の行き着く先である。そう、人は節約したあと、お金を増やすことを考える。そして失敗するのである。ぼくから見ると、この時点で彼はかなり父親としての自覚があったのでは、と思える。出資も、見栄ではなく本気で「イケる!」と思っていたのだろう。失敗したあと、彼女が仕事をはじめて、彼が仕事をやめたのはおそらく彼なりの反省パフォーマンスだったのだ(実際は自殺行為だったのだが)。
つまり彼は、ある意味で裏表のない純粋な人だったのである――というような話をしてみたのだが、彼女に、
「今の話みたいな心理だったらそれ……完全にサイコパスですよ……別れて良かった」
と言われた。
いやいや! 違うよ! 俺も似たような経験あるからわかるんだよ!
そう言うと、彼女は、
「めろんさんも慰謝料準備しといたほうがいいですよ……」
と言い、冷たい目で去って行った。
……世の中の奥様方たちとの深い溝を埋めるために、「パパいや、めろん」は存在しています。また次回。
イラスト&息子インタビューなど盛りだくさん!
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