〔PHOTO〕Gettyimages

深田恭子の魔力…私たちはなぜ『ルパンの娘』にこれほど惹かれたか

フェミニンだけど、強く美しい

「女性を描く」秀作が揃った夏ドラマ

この夏のドラマで、もっとも印象的だったのは、やはり深田恭子の怪盗姿である。

なぜだろう。ドラマそのものの力を越えて、深田恭子が迫ってくる。不思議でたまらない。

フジテレビ『ルパンの娘』公式サイトより

ドラマとして、お話として見ているなら、たとえば黒木華の『凪のお暇』のほうが心惹かれた。また同じ時間帯にNHKでやっていた『これは経費で落ちません!』の多部未華子の動きもとても沁みる。また、『監察医 朝顔』の上野樹里は深く刺さってきた。 

みんな働く女性を描き、その生きづらさがテーマになっていた。。

どれも優秀なドラマだった。

 

『凪のお暇』は、無理して人に合わせて暮らしていた女性(凪)が、それをやめてみた、というドラマである。見てると何だかいろいろ楽になっていく。仕事もやめて、安いアパートに移って、クーラーがないので河原に落ちていた扇風機を拾ってきて直して使って、身なりをあまりかまわず、だらっと生きていく。

でも、いろいろある。やめたからといって、すべてリセットできるわけではない。
そういうお話だった。

低いところから世間を眺めてるドラマだった。つまり「下から目線」である。

それぞれ、自分の背丈にあったところから世界を眺めようという物語で、見てると落ち着く。ゆったりする。そういうポイントにおいて、屈指の名作だったとおもう。ちょっとないドラマだ。ただ、そこに同調できなければあまり何も感じられないドラマだっただろう。視点に同意できなかったら退屈そうなお話である。
ドラマ作りはそういうところがむずかしい。

『凪のお暇』の視聴率は、そんなに高いわけではないが、でも数字は落ちなかった。「凪の世界」の気持ちよささに気付いた人が増えていったのだ。お話の展開もさることながら、この「世界」が心地いい、と気づいた人たちによって、同調する和が広がっていったという感じがする。

もと彼や、刹那的にしか生きてない彼、いろんな男が現れてはそのたびに心乱されていくのであるが、でも凪は凪である。凪は凪でありつづけようとしている。

書いてて気づいた。

「乱されるが、凪」

である。そういうことか。そういうことのようだ。

力強いドラマだった。地力の強い物語だった。十年のちに見てもほっとできるドラマだとおもう。すばらしい。