不妊手術で予防できるのは
望まない妊娠だけではない

新しくペットを家に迎え入れた時、避妊や去勢などの不妊手術を行うかどうか悩む方も多いだろう。
不妊手術に関しては、それぞれの考えもあるだろうが、私は相談を受けたら基本的には手術を勧めている。望まない子を増やさないためばかりではなく、不妊手術を行うことで予防できる病気があるからだ。

●犬の場合

メス犬の場合、子宮蓄膿症のリスクから解放されるだけでなく、少し出典は古いが、早期の避妊で乳腺腫瘍になる確率も下がるという報告がある。(資料1

オス犬も、去勢を行うことにより、前立腺肥大症、肛門周囲腺腫瘍や会陰ヘルニアなどの病気の予防効果が認められている。特に前立腺は、未去勢の場合、年とともに必ず肥大し、時に尿道や直腸を圧迫することがある。たとえ良性の過形成の場合でも、尿や便が出なければ命に関わるので注意が必要だ。ちなみに、ただの過形成であれば内服薬で縮小することが多いが、嚢胞などができており薬が効かない場合は去勢手術を検討する。

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●猫の場合

猫は発情期が来ると、メスがオスに積極的なアプローチを行う上、人間や犬と違って交尾刺激により排卵するため、発情期に交尾するとほぼ100%妊娠する。
こういった繁殖力の高さを知らずに猫を飼うと、あっという間に飼いきれないほど数が増えてしまうことがあり、飼い主の生活も立ちいかなくなってしまう、いわゆる多頭飼育崩壊などを引き起こす恐れがある。

尿路閉塞などの病気は、未去勢のオス猫で発生率が優位に高いことが認められている。
また、猫は未去勢の場合、縄張り意識が強く、外に出てパトロールをしたがる傾向にある。すると、喧嘩による怪我や感染症および交通事故に遭遇するリスクが高まる。

猫の発情期は春と秋の2回。また一度に3~6匹産むことが多い。増え始めるとどんどん増えることにも Photo by iStock