2019.10.03
# 離散数学

プログラミング思考の原点「離散数学」が面白いほどよく分かる!

イラストで学べる解説書が登場
キグロ プロフィール

入門書としても、大学参考書としても

本書の特色は、大きく二点あります。ひとつはタイトルにある通り、イラストが多用されていること。本書には難しい専門用語もたくさん登場しますが、それらを図解することで、わかりやすくかつ読みやすくされています。

また黒猫(学生)とトラ猫(教授)の二匹の猫が随所に描かれ、そこまでの話を噛み砕いて解説してくれます。おまけに、二匹は時々、疑問やヒントだけ投げて答えをくれないことがあります。それは、その内容が本書のレベルを超えるからなのですが、我々読者にとっては先へ進むための道標になることでしょう。

と、ここまでなら、よくある「一般向けの数学読本」です。その程度であれば、わざわざ記事にはしません。

本書にはもうひとつ特色があります。登場するほぼすべての定理に、厳密な証明が書かれているのです! ポップな見た目とは裏腹に、大学の教科書として十分使えるレベルに達しています。当然、専門用語もわかりやすい日常用語で置き換えたりせずに、専門用語のまま登場します。

photo by IStock

そう聞くと「なんだか難しそう」と感じてしまうかもしれません。しかし、そこでイラストの登場です。先述した通り難しい専門用語も証明も、ポップで目を惹くイラストで図解されているためすんなり理解できます。

もちろんちょっと難しいところもあります。ですがそれは本書の説明のせいというよりは、離散数学そのものの難しさに起因するものです。きっと誰もが難しいと感じる箇所なので、ゆっくりと落ち着いて読んでいきましょう。

本書の目次は以下の通りです。
第1章 離散数学の魅力
第2章 集合
第3章 論理
第4章 対応と写像
第5章 関係
第6章 帰納法と関係の閉包
第7章 順列と組合せ
第8章 グラフ
第9章 無限集合

まず初めに、離散数学に登場する興味深いトピックがいくつか紹介されます。そこからしばらくは離散数学に必要な用語や概念の説明です。本格的に離散数学に入るのは第6章、第7章のあたりから。ここでちょっと難しいなと感じたら、前の章に戻って言葉や考え方の確認ができるようになっています。離散数学についてしっかり勉強したい方は、証明を読み込んでみましょう。

一方、「自分は面白い話を聞きたいだけなんだ」という人は、第1章はしっかりと読んで、あとの章はイラストを中心に眺めていきましょう。第1章のトピックの詳しい解説は、第7章以降に書いてあります。そこを行ったり来たりしつつ、徐々に間の章も読んでいきましょう。厳密な証明の面白さも味わえるようになるはずです。ちなみに、冒頭で出したクイズの答えも、本書の第7章に書かれています。

各章はいずれも10~20ページと、コンパクトにまとまっています。イラストも多いので、文章の量は見た目よりも少なめ。一つの章だけならさらっと読めてしまうので、空いた時間などに少しずつ読み進めることもできます。気軽に離散数学に手を出すには、ちょうどよい分量でしょう。

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