2019.09.27

「時速7キロ」ウォーキングのすすめ

まずは10分でもいい
アシックス スポーツ工学研究所

理想的な歩行姿勢

どんどん歩いてエネルギーを消費すれば糖分を使いますから、血糖値は下がります。運動の初期は糖が中心ですが、すぐに脂肪の燃焼も始まるので、中性脂肪も下がります。生活習慣病のリスクが抑制されるわけです。がんの予防になるという学説もあります。

下肢の筋肉だけでなく、体幹や上肢などの筋肉も鍛えられます。このように、とにかくウォーキングは健康にいいのです。

では、歩き方で気をつけること、理想的な歩き方とはどのようなものでしょう?

50歳を境に歩き方が変わることは私たちの研究で明らかになってきました。たとえば筋力の低下とともに、より楽で安全な歩き方をするようになる傾向があります。

つま先を持ち上げずにペタペタとすり足で歩くのもそうですし、左右の足を離してついたり、足を外側に向けたりして身体重心の揺れを安定させるのもそうです。

筋力の衰えをそのような歩き方の変化により、無意識にカバーしようとしているわけです。楽に歩くと、姿勢は悪くなるし、筋力も衰えます。負のスパイラルに陥っていきます。

逆に言えば、身体にある程度、負荷をかけてやれば、筋力は維持され、後期高齢者になっても元気に歩けるようになる。正のスパイラルに戻すことができるのです。

このように歩行速度を保つこと、理想的な歩行姿勢をキープすることがいつまでも元気に歩くためには大切になってくるのです。

もし腰が曲がっていたら、時速7キロを出すことは難しいと思います。ひざを曲げて、小さなストライドで歩いているのでは、時速7キロは出しにくいはずです。

つまり、時速7キロで歩行できるようになることは、換言すれば、ほぼ理想的な歩行を実現していることになるでしょう。

ただし、「ほぼ」と書いたのには理由があります。腕を引くようにして歩ける人が意外と多くないのです。腕を振ると聞くと、どうしても前方へ振り出してしまいます。ここだけは意識して直す必要があるでしょう。

また、鼻で吸って、口から吐く呼吸を心がけること。おなかをグッとへこませて
(いわゆる「ドローイン」です)歩くこと。こうしたことも意識すると、エネルギー消費効果はアップします。

歩行年齢を若く保つ最大のポイントは歩行速度であると説明しました。少なくとも時速7キロで歩けるうちは、支援・介護が必要な状態からは離れていられるはずです。

私たちアシックスではどういう歩き方を「理想的な歩行姿勢」と考えている
のか?  その一部の要素を示したのが下の図です。

いつまでも元気でいられる歩行姿勢とは、どのようなものなのか?  詳しくは『究極の歩き方』(講談社現代新書)に、たくさんのエビデンスを交えて書きましたので、是非ご覧ください。

最後に、「いつまでも元気に歩く」には、いつ歩くのが効果的かについて、少し触れておきましょう。

関連記事