大停電の千葉で私を襲った、老親世代との「想像を絶するトラブル」

館山市に暮らす作家の「私的体験報告」
こかじ さら プロフィール

状況をまったく理解してくれない…

9月10日(火)大停電2日目

午前7時、朝イチで自宅に戻った兄から、「まだ電気が復旧していない、大工の棟梁とも連絡が取れない、親類から携帯への着信はあるのだが、折り返すと繋がらない」と、フェイスブックのDMを通して報告を受ける。

 

私が考えている以上に深刻な事態に陥っているのかもしれない。

そう思った矢先、トイレから出てきた父が、

「ウォシュレットの水の出が悪いから業者に電話しろ」

ズボンを上げながら、いつものごとく命令口調で宣った。

「だからそれ、今、どうでもいいでしょ」と、言い返す気にもならなかった。

午前11時、市内の大型スーパーが1軒だけ再開したらしいとの情報をSNSで得るが、広大な駐車場はすでに満車でレジ待ちは1時間半を越えているという。

ならばと、古くからある個人営業の八百屋へ向かうと、新鮮な野菜や果物が店先に並んでいた。バナナやブドウ、トマトやキュウリなど、調理をせずに食べられるモノを購入し、自転車を飛ばして兄夫婦宅と親類宅へ届ける。

自宅へ戻ると、玄関先で父が仁王立ちになっている。

「相撲がはじまる時間までにテレビは直るのか」

千葉県民が置かれている状況を、昨日、あんなに説明したにもかかわらず、なおも父は繰り返す。

「だから、今はそれどころじゃないの。電気が通っているだけでもありがたいんだから」

やんわりとたしなめると、

「口答えしてる暇があったら、とっとと電気屋へ電話しろ」と激高する始末。

ここ数年、自分の目の前で起こっていること、自分に関わることしか考えられない傾向が強くなってはいたが、ここまでとは……。苛立ちが募っていった。