1日170トン増える「原発汚染水」は海に流すしかないのか

次の世代にツケを回さないために
週刊現代 プロフィール

地元・福島の思い

「海洋放出賛成派」の意見がこれまであまり表に出てこなかったのは、なにより福島の漁業関係者への配慮のためだ。

その重要さを、元東芝の原子力事業部の技術者であり、元衆院議員で『汚染水との闘い―福島第一原発・危機の深層』の著者・空本誠喜氏が話す。

「私はロンドン条約などの国際基準(トリチウムの濃度が1ℓに6万ベクレル以下であれば海洋放出が認められる)に合致したやり方で、相当希釈して海洋放出するというのが最善の方法だと考えています。

しかし、同時にステークホルダーである福島の漁業関係者の方々への説明、同意は絶対に得なくてはいけません。

このプロセスを経ずに、簡単に政治決断でやってしまうのは問題だと思います。国際社会への丁寧な説明も不可欠だと思います」

9月16日、IAEA(国際原子力機関)の総会で、韓国の科学技術情報通信省の文美玉第一次官は「海に放出されれば、日本の国内問題ではなく、世界の海洋の環境に影響を及ぼす深刻な国際問題になる」と警告した。国際社会への対応も急務になっている。

処理水の貯蔵が限界を迎えるまで、3年も残されていない。これは、決断を先送りするばかりの進次郎氏に任せず、子や孫の代がツケを払わずに済むように、日本人誰もが考えるべき問題だ。

「松井市長の『大阪湾に放出する』という発言は、確かに荒唐無稽だと思います。現在、115万トンある処理水を、大阪までどう運搬するというのか。

しかし、この『福島にだけ犠牲を押し付けない』という観点は非常に大切なことだと思います」(前出・松久保氏)

決断までに残された時間はそう多くない。こうしている今も、行き場所の決まらない処理水は溜まり続けている。

発売中の『週刊現代』ではこのほかにも、「2022年からの日本経済、その残酷な現実」「野菜中心の食生活が『脳卒中』の原因だった」などを特集している。

「週刊現代」2019年10月5日号より

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