橋下徹がまさかの勝訴…たった1回のリツイートが「名誉毀損」になる

あなたのリツイートも訴えられるかも
菊地 智史 プロフィール

リツイートボタンを押すとき

本件で、ツイッターユーザーと弁護士の見解が分かれるポイントは、(1)単なるリツイートも名誉毀損により民事上の責任を問われる表現行為に当たるのか(2)既に他の媒体で報道されている事実であるのに岩上氏のリツイートによって橋下氏の社会的評価が低下したといえるのか、以上の2点だと思う。詳しく考えてみよう。

まず、リツイートは表現行為か。

 

あなたがリツイートボタンを押すとき、「これは私の意見を発信する表現行為だ」といった大それた気持ちを持っているだろうか。多分、そうではないと思う。

私自身、興味のあるニュースのURLが記載されたつぶやきを、後で時間のあるときに読もうと思ってリツイートしておくことがある。好きなミュージシャンのつぶやきは特に何も考えずにリツイートしてしまう。多くのツイッターユーザーのリツイートについての認識は、似たようなものだろう。他人のつぶやきをシェアするに過ぎないリツイートという行為は、自分の意見を発信する表現行為とはいえないような気がする。

photo by iStock

しかし、本件で大阪地裁は、リツイートは表現行為に当たると判断した。

実は、同様の判断は、過去の裁判例でもなされている。過去の裁判例は、リツイートを「「引用形式により発信をする主体的な表現行為」であることを重視して結論として同事案でリツイートした内容もリツイート者の表現であると」(松尾剛行・山田裕一朗著(2019年)『最新判例に見るインターネット上の名誉毀損の理論と実務第2版』勁草書房350頁)して、単なるリツイートもリツイートをしたユーザー自身による発信と同じように扱うべきものとしている。

翻って本件の報道を見ると、大阪地裁は、岩上氏のリツイートにつき、普通に読めば岩上氏のリツイートは元となったツイートに対する賛同の意見を発信したのと同様で、岩上氏自身による表現行為に当たると判断したようだ。