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橋下徹がまさかの勝訴…たった1回のリツイートが「名誉毀損」になる

あなたのリツイートも訴えられるかも

ある日、裁判所から通知が届く

ツイッターを開いて、他人のつぶやきをリツイートする。SNSが普及した現代では、いたって日常的な光景だろう。ニュースの保存や動画のシェアなど目的は様々だが、筆者を含むツイッターのユーザーは毎日気軽にリツイートを行っている。

でも、ある日、そんなあなたのリツイートが原因で家に裁判所からの通知が届いたら? 見慣れない「訴状」の文字、無機質なワープロ打ちの「当裁判所に出頭する期日及び場所は下記の通り定められましたから、出頭してください」という文面。訴状には、「名誉が毀損されたため謝料○百万円を請求する」と書いてある……。

 

こんな事態が発生してもおかしくない状況となった。橋下徹元大阪府知事が、自身に関する記事をリツイートされ名誉を毀損されたとしてジャーナリストの岩上安身氏に慰謝料を請求していた訴訟で、橋下氏の勝訴判決が下されたのだ。

リツイートで名誉毀損。ツイッターユーザーとしては、強い違和感のある判決だろう。現にネット上でもこの判決に対し、「裁判官の判断は世間の感覚とずれている」などと批判する内容の見解が目立つ。他方で、この判決についてコメントする弁護士の多くは判決の内容に肯定的だ。ネット誹謗中傷の案件を扱う筆者の同僚弁護士も、判決はやむを得ないとの見解である。このような見解のギャップはどこから生じるのか。

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まず、ことの経緯を簡単に整理しよう。

以前から橋下氏の言動に批判的な内容のつぶやきをツイッターに投稿していた岩上氏が、平成29年10月頃、府知事時代の橋下氏のネガティブな言動を内容とする第三者のツイートを、1度だけリツイートした。岩上氏は同年12月ころまでにリツイートを削除したが、橋下氏はこのリツイートにより「自分がパワハラをする人物だという印象を広く拡散された」と主張し、岩上氏に対し110万円の慰謝料を求めて大阪地裁に提訴。大阪地裁は、令和元年9月12日、33万円の限度で橋下氏の請求を認めた。岩上氏はこの判決に納得せず、控訴の構えのようである。

本稿執筆時点で、本件の判決記録は閲覧できない状態だ。そのため、本判決につき全ての論点を網羅することは目指さず、判決内容そのものについての詳細な検討も判決記録の閲覧が可能になった後の論評に任せる。本稿ではあくまで、報道により入手できた情報のみに基づき、ツイッターユーザーと弁護士の間の見解のギャップについて考えてみたい。