深さ3000m級も!「なぜ」クジラは潜れるのか、説明できますか?
知っているようで知らない深海の生き物大好評の『講談社の動く図鑑 MOVE』からの出張記事。今回は、お子さんからの「なぜなに」に答える「深海の生きもの」編です。なんでも食べちゃう「あの魚」の話もありますよ!
深海1000mで活動できるクジラの謎
歯のある生きものの中で、最も巨大なマッコウクジラ。
巨大な体を支える食べものは、ダイオウイカなどの深海生物です。
マッコウクジラは深海で狩りをするために表層と深海を行き来します。
水深1000mまで約10分でもぐるといわれ、生涯の3分の2の時間を深海での狩りに費やすという説もあります。

拡大画像表示
マッコウクジラは私たちヒトと同じ哺乳類のなかまです。ヒトは、道具を使わない素潜りではどんなにがんばっても120m程度が限界です。
哺乳類のマッコウクジラが、なぜ深海にもぐることができるのでしょうか?
筋肉に酸素をたくわえることができる!?
マッコウクジラの全身の筋肉には、「ミオグロビン」というタンパク質が多く含まれています。

拡大画像表示
このタンパク質は、血液中のヘモグロビンから受け取った酸素を蓄えておくことができます。
水面で取りこんだ酸素を蓄えて、体のすみずみに行き渡らせることで、長い間息継ぎしないで潜りつづけられるのです。
「脳の油」が潜水に役立つ
また、はっきりとはわかっていませんが、マッコウクジラの頭につまっている「脳油」という油が潜水に役立っているという説もあります。
脳油はマッコウクジラの体温下では液体ですが、冷やすと固まります。
もぐる前に体内に海水を取り入れて、脳油を冷やし固めて密度を大きくし、それを重りにしてもぐるのかもしれないと言われています。
潜水上手なクジラはほかにもいます。アカボウクジラ科のなかまです。
ほとんどの種が陸地から遠く離れた海にすんでいるため、観察例が少なく詳しい生態はわかっていません。
マッコウクジラの潜水は長くても90分ほどですが、アカボウクジラはなんと138分間、水深2982mまで潜ったという記録があります。
これほど深く潜るには高い圧力に耐えるための特殊な体の構造が必要なはずですが、アカボウクジラがどのようにして深海への潜水に適応しているのかはまだわかっていません。