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鹿島がメルカリを選んだワケ〜決め手は「愛情」と「テクノロジー」

常勝軍団は次のステージを目指す

求められる「スピード感」

Jリーグで断トツの20冠を誇る鹿島アントラーズの経営権がフリマアプリ大手のメルカリに移ったことは大きな話題になった。発行する株式の61.6%(約16億円)を日本製鉄から取得して筆頭株主に。公正取引委員会に認可され、8月30日、鹿島の新社長にメルカリの小泉文明社長が就任した。“相思相愛が実った”と言えるだろうか。

メルカリ・小泉文明社長/Photo by gettyimages

この経営権譲渡は鹿島の経営が苦しくて手放したわけではない。これを語るには、まず鹿島側の背景から説明しなければならない。

鹿島の前身は住友金属サッカー部。主力製鉄所を鹿島臨海工業地帯に持つ住金が部を母体にしてアントラーズを立ち上げた。Jリーグ加盟時に「99.9999%無理」と言われたが、茨城県の協力を得てサッカー専用のカシマスタジアムを建設してJリーグを振り向かせた奇跡は有名な話だ。

ジーコのスピリットを継承した鹿島は強豪かつ地域密着のクラブとして地位を築く中で、親会社の住金は2012年10月に新日鉄と合併。19年4月には日本製鉄に商号変更され、住金の名前が消えた。親会社の規模が大きくなったことでクラブ側が逆に動きにくくなるという実態があった。

 

事業担当の鈴木秀樹取締役マーケティングダイレクターは言う。

素材メーカーがソフト事業を支えていくにはどうしても限界がある。Jリーグが競争社会に舵を切った段階で、どうやってその競争についていくのかがアントラーズのテーマになった。たとえば親会社の決済を求める事案がたくさんあっても、400ある子会社の一つとなると決済を含めてスピード感がついていかない。その子会社も製造、物流関連がほとんどで、1つだけ異質。サッカー界がこう変化しているのでこうしてほしいと言っても、なかなか理解されるものではない。しかし素材メーカーの本質を考えれば、それは仕方のないこと