『水戸黄門』2019年版を見て「昭和からの大変化」にびっくりした件

入浴シーンもこんなに変わった
堀井 憲一郎 プロフィール

「入浴シーン」の変化

展開が同じだから、ほかにもいろいろ似た展開をする。

昭和62年の第17部で調べたのは「入浴シーン」と「手籠めのシーン」である。

入浴シーンに意味はない。お風呂に入ってるだけのシーンである。黄門さまの入浴もあるが、だいたいは同行する若い女性の入浴シーンで、まあ、サービスシーンというところだろう。これがかつてはふんだんに入っていた。

手籠めというのは、悪い代官や悪い家老やその悪い息子などが、若い女性を屋敷に呼び寄せ、酌をせよと命じておいて、力づくで押し倒そうとするシーンのことである。途中で必ず邪魔が入って必ず未遂におわる。

17部では、元ピンクレディのMIE(第17部の準レギュラー)が帯を解かれるシーンや、山崎美貴(オールナイトフジの元おかわりシスターズ)のふくらはぎがちらりと見せるシーンがあった。お定まりのシーンだった。 

入浴シーンは、由美かおるが一手に引き受けていた印象が強いが、昭和62年時点では、MIE、山崎美貴、由美かおるの三人で分けて担当している。由美かおるのかげろうお銀はこの前の16部(1986年)から登場したばかりだった。

それから30年後、2017年制作の武田鉄矢の黄門さまでも「女性に乱暴しようとするシーン」や「入浴シーン」があることにはある。

でも全10話で、乱暴・入浴それぞれ1回ずつである。

乱暴シーンは第二話。悪い家老の悪い息子が、女性に酌をせよと迫り、彼女を抱き寄せただけで、そのあとすぐに助けが入っていた。

入浴シーンを担当するのはもとAKBメンバーの篠田麻里子。彼女が、忍びの女を演じていてその入浴シーンが1回だけあった。9話の真ん中あたり(開始27分後)。

彼女が風呂に入っていると悪の忍者の親玉(中村嘉津雄)がそろそろ行くぞと声をかけてくる。それだけ。入浴シーンである必要はない。

黄門さまのお話では、忍びの女が風呂に入ることになっているようだ。

由美かおるの後継者が篠田麻里子というのはちょっと感慨深い。役柄の設定も「最初は黄門さまの命を狙っていた忍びだが、やがて黄門さまの味方となって旅に同行する」という同じものである。

『水戸黄門』の型のひとつとして、何とか受け継いでいるようである。ただそれぞれの回数は減っていた。

 

「急ぐ旅」への違和感

黄門さまの新しいシリーズを見たのは、ずいぶん久しぶりである。

だいたい10年が経っている。

10年ぶりに人気シリーズを見るとやはり奇異な感じに包まれる。人気のある物語とはそういうものだろう。