水戸黄門は、静かに復活している。
かつて月曜8時のナショナル劇場にて大人気を博していた時代劇ドラマ『水戸黄門』は、六代目副将軍に武田鉄矢を迎え、BS-TBSで制作されているのだ。なんか秘密裏に行われてる感じである。たぶん秘密ではないとおもうけど。
武田鉄矢黄門の第一部は2017年にBSで放送され、第二部も2019年の5月から放送されていた。
武田鉄矢の前の水戸黄門は里見浩太朗がやっていて、2011年の第43部が最後だった。BSながらも武田黄門はそれの続編ということで、第44部として始まっている。タイトルバックやテーマ曲は同じである。
その第44部はひそかに地上波でも放送されていた。
4月から日曜の早朝4時という時間に放送されていたのだ。なかなかふつうに見られる時間帯ではない。「おはよう時代劇」の時間帯ではある。どうやら時代劇はいま朝の4時から見る時代になっているのだ(おはよう時代劇はテレビ朝日系)。
この武田鉄矢の第一部(通算44部)は全10話で、私は地上波で見た。
かつての水戸黄門も昭和の終わりころから見ていて、いろいろ調べたりもしている。
古いところだと、1987年夏の黄門さまを調べている。昭和62年である。
『水戸黄門』第17部の2話から14話までのご一行を調べている。
時代劇には型がある。とくにこの黄門さまはかなり型どおりに展開するドラマであって、それが人気の秘密でもあった。
黄門さまはいつも助さん格さんと旅をしている。
宿場街で親切にしてくれた人たちが困っている。それを助けようとすると、後ろにもっと悪い連中がいることがわかる。その悪事を調べ上げ、悪人をやっつける。
だいたいそういう話である。
助さん格さんがとにかく腕が立つので、二人で悪人たちを叩きのめしたあげく、この人は天下の副将軍の水戸光圀公であらせられるぞ、とその正体を顕らかにして、悪人たちを平伏させる。というのが最後の見せ場になっている。それのどこがおもしろいのかと聞かれても困る。これはこれでおもしろいのである。
最後に“葵の御紋”の入った印籠を翳して、この紋所が目に入らぬか、と格さんが叫ぶシーンが見せどころである。
そういう型である。
毎回、同じ型をなぞる。そういうおもしろさである。知ってるパターンだからこそ、安心して見ていられるというものだ。
これがおそらく物語消費の祖型である。本来の物語というものはネタバレしようがないものなのだ。