アメリカで話題「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」とは一体何か

「アーメン」ではなく「ラーメン」
岡本 亮輔 プロフィール

2006年、ヘンダーソンは『空飛ぶスパゲッティ・モンスターの福音書(The Gospel of the Flying Spaghetti Monster)』を刊行している(日本語版には『反・進化論講座』という適切な主題が補足されている)。

同書でヘンダーソンは重力をめぐる議論を例にあげる。私たちは重量の性質について多くのことを知っているが、なぜ重量が発生するのかについて完璧に証明された理論は存在しない。

しかし、だからといって、宗教的なものも含めたすべての説を平等に扱う必要があるのか。すべてが仮説だからといって、重力の背後にスパゲッティ・モンスターがいるという説も、物理学の学説と同じように扱うべきなのかというのがヘンダーソンの問いかけである。

 

やろうと思えば、FSMでさえ科学的に裏づけられる。例えば、古代人の身長が低く現代人が高いのは、かつてはスパゲッティ・モンスターがそのヌードル触手ですべての人の頭を押さえつけていたが、人口増加で触手が不足するようになったためだ。こうした説明に納得する人はいないだろう。

だが、米国では特にキリスト教だけが特別扱いされ、慣習や価値観が公の場に持ち込まれており、FSMはそれを批判しているのである。

〔PHOTO〕gettyimages

脱キリスト教化する米国

FSMは社会的にも広がりを見せつつある。当初はネット上で宗教批判を行う際の手がかりとして冗談半分に用いられていたが、2016年にはオランダで宗教団体として認可された。

さらに米国では、FSM信者が湯切りボウルをかぶったまま運転免許証の写真撮影をする事例も見られるようになっている。米国では、宗教上の理由であれば帽子類をかぶったまま撮影することが認められており、それを批判しているのだ。