〔PHOTO〕iStock

フランスでも「女は男より2割も給料が低い」その厄介な理由

解決方法はあるのか

ここ数年で男女平等を力強く推進し、短期間のうちに「グローバルジェンダーギャップ」のランキングを駆け上がったフランス。本連載「フランスに探る男女連携社会の作り方」は男女の〈連携〉の在り方を同国に学ぶ。

(これまでの連載記事はこちらから)

〔PHOTO〕iStock

平均月収は、男女でこんなに違う

男女格差是正を国の重大事と掲げ、グローバルジェンダーギャップランキングを12年間で58位分駆け上がったフランス(2006年70位、2018年12位)。これまでの連載では、その政策や発想の土台を紹介してきた。

しかしそのフランスにも、どうしても男女格差を改善できずにいる分野がある。それは経済、特に男女の賃金格差だ。最新の2018年上記ジェンダーギャップ報告では「同種職の男女賃金差」項目において、全調査対象国149カ国中133位というショッキングな順位を刻んでいる。政治分野では総合10位に位置し、女性閣僚数では世界トップにあるにもかかわらず、だ。

フランスで「賃金上の男女の平等」が労働法典に正式に記載されたのは1972年。それから40年以上の月日が経過し、様々な施策が取られたものの、2018年の全業種合わせた女性の月給平均はいまだ男性より452ユーロ(約5万5千円)も低い。パーセンテージでみると、女性の平均月収額は男性のそれより18.5%も劣っているという。

自由・平等・友愛を国是とする国で、これはどうしたことだろう。筆者はフランスに20年住み、ここでの日常生活では、もはや大きな男女格差を感じない。それなのになぜ賃金格差だけ、このような遅れがあるのだろうか。

 

「女は稼げない」の仕組み

賃金格差は、あらゆる男女不平等の結果。だから一番、改善が難しいんです」

そう話すのはパリ第10大学教授のドミニク・ムールさん。労働面での性別・人種格差に着目する、人口経済学の専門家だ。

ドミニク・ムール氏

賃金格差の問題では「同一労働・同一賃金」、つまり「同じ仕事をしているのに、給与額が違う」という点が注目される傾向がある。しかし問題はその前から始まっていると教授は指摘する。まず女性が男性と「同じ仕事」ができないような仕組みが、社会に張り巡らされているのだ、と。

その第一の理由は、家庭内での役割分担。「男は外で仕事、女は内で家事育児」という歴史的な性別分業意識の影響は未だ強く、女性が仕事を持つようになっても、家事育児は女性が多く担い続けている。最新でも2010年と古い調査ではあるが、フランスの家事育児分担率は女性72%・男性28%と大きく偏っている。世帯内で他に家事をする人がいないので、女性だけが、家事と仕事を両立するべく働き方の妥協を余儀なくされている現状だ。